総本家駿河屋善右衛門 1月に屋号を変更
老舗和菓子店「総本家駿河屋」(本社=和歌山県和歌山市小倉、岡本良太社長)は来年1月1日、創業560年の節目を迎えるのに合わせ、屋号に創業者・岡本善右衛門の名前を冠し、「総本家駿河屋善右衛門」に変更する。新ブランドの立ち上げも決定し、23代目となる岡本社長(46)は「原点に立ち返り、伝統を守りながら、新たな菓子作りに挑戦したい」と話している。
駿河屋は室町時代の1461年、京都・伏見で初代岡本善右衛門が「鶴屋」の屋号でまんじゅうの店を構えたのが始まり。江戸時代初期の1619年、徳川頼宣の紀伊国入りを機に和歌山へと移り、紀州徳川家の御用を務め、1685年には、5代将軍・徳川綱吉の娘・鶴姫の紀州藩への降嫁を受けて「鶴屋」の屋号を返上し、徳川家ゆかりの「駿河屋」の名前を賜った。
1658年、6代目善右衛門が寒天を用いたようかんの製法を確立するなど、和歌山のみならず、和菓子の歴史を語る上で欠かせない老舗だが、2014年5月に経営破綻。復活を望む従業員や市民らの運動を経て15年3月に再開し、現在に至っている。
23日、和歌山市駿河町の同社駿河町本舗で記者発表会が開かれ、屋号変更について岡本社長は「先祖が守ってきた和菓子と屋号に改めて向き合い、いま一度気を引き締めて『菓子を極める』決意の表れ」と説明した。
新屋号の記念新商品第1号は、周囲にようかんをコーティングした「ばーむくーへん」を1月15日に発売。岡本社長は「菓子の和洋の垣根はどんどんなくなっている。新たな挑戦をする中で、誰もがイメージできる新しい菓子をと、バームクーヘンにした」と意図を話した。
同じ15日には、創業当時の屋号と創業者の名前を掛け合わせた新ブランド「鶴屋善右衛門」も立ち上げる。
「日々の楽しみに、和菓子を」をコンセプトに、ようかんや大福、おはぎなど定番の和菓子を、かわいらしく、食べやすい大きさにアレンジした商品を用意。ミカンやサンショウなどの地元食材も使っている。
海南市日方の海南店内に新ブランドのコーナーを設け、さらに他店舗での展開も目指している。
駿河町本舗で新しい屋号の看板を除幕した岡本社長は「来年は挑戦の年にしたい。その先に多くの人の新しい笑顔をつくっていけたら」と話していた。