最善の医療提供 日赤和歌山にがんセンター
日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山県和歌山市小松原通、平岡眞寛院長)は12日、同センター2階に「がんセンター」を開設する。がんの種類ごとに14の臓器別ユニットを配置し、専門医による先進的な治療と診療科の枠を超えた英知を結集し患者一人ひとりに最善の医療を提供する。
日本人の2人に1人が罹患するといわれる「がん」。県内では1979年から死亡原因の上位となっている。近年では早期発見と早期治療で治癒率は大きく向上し、今や6割以上のがんで根治が見込まれる。だが、県民のがんの生存率は全国でも低く検診率も高くない。
がんセンターは2016年に就任した平岡院長肝いりの取り組み。同センターは、地域がん診療連携拠点病院「高度型」に指定されており、予防、検診、検査、診断、治療、緩和、救急、相談支援など、がん診療に関わる全ての診療が機能している。センターが持つがん診療機能を包括的なセンターとして集結させ、最新の医療を継続して提供する。また診療科・職種横断的なチーム医療を進め、医療の質を向上させることや県のがん生存率向上に寄与する。
一人ひとりに合った最善のがん治療と心を込めた支援を理念に掲げ、ロゴは和歌山の「わ(W)」とこころをモチーフにしている。
併存疾患を持つがん患者への治療や、救急への対応など内科・救急科との連携システムの構築を行う総合病院の利点を生かした医療を行う。
ユニット診療では初診外来をして各専門家が共同外来やコンサルテーション、オンラインカンファレンス、電子カルテの情報共有などを行い、患者の自己決定権を尊重しながら最適な治療方針を決定する。
検診から診断、治療、救急、緩和、患者支援までを包括したチーム医療で、最新のがん治療だけでなく、早期発見のためのがん検診の充実や早期からの緩和医療の提供、就労などがん療養を充実したものにするための社会的・経済的・精神的サポートなどあらゆる場面で必要な医療を強化する。がんセンターガイダンスを作成し地域との連携の強化も図る。
6日に同センターで報道関係者らを対象にした説明会があり、平岡院長がスライドを用いて説明しがんセンター開設の意義を強調した。
平岡院長(69)は「がん治療はさまざまな方向からのアプローチが要求される。併存疾患を持つ患者さんなど、それぞれの病気の管理をしながら患者さんにとって最善の治療と心を込めた支援を提供することができる」と話した。