喜びと感謝を胸に 新成人コロナ禍での誓い

コロナ禍で迎えた成人式は、感染に警戒し大きな変化を余儀なくさせた。和歌山県内では田辺市や新宮市などが延期、那智勝浦町が中止を決めた一方、開催を決めた本紙エリアの各自治体では、検温や分散、時間短縮など、さまざまな対策を講じ、厳戒態勢の中で行われた。感染対策が徹底された会場で、新成人は喜びをかみしめた。

10日に県民文化会館で行われた和歌山市の「はたちのつどい」。誓いのことばで、舞台上にずらりと並んだ新成人の代表は、マスクやマウスシールドを着用。「新型コロナウイルスの感染拡大による大変な状況の中、こうして成人式を迎えられたことに深く感謝いたします」と声をそろえた。

尾花正啓市長も式辞で「開催にあたってはずいんぶん悩み、さまざまな意見や批判も頂いた」とし、「しかし、成人式は一生に一度しかない人生の大きな節目。ぜひとも市を挙げてお祝いしたいとの思いで、感染対策を講じて実施を決めた」と説明。「式典後は真っすぐに帰宅し、ぜひ家族に20年分のありがとうを伝えて」と呼び掛けた。

和歌山市では紀の川の北部と南部に分け、午前と午後の2部制で実施。参加を見合わせた新成人のために式典の様子をユーチューブでライブ配信した。式典の時間も90分から35分に短縮し、座席も一つ間隔を空けて座った。

会場では入場者にマスク着用、検温や手指の消毒を求め、新成人には「新成人の皆さんへのお願い」として、注意書きを配布。式典後の大人数での会食など、感染リスクが高まる行動は控えること、式典終了後は密集を避けるため会場の敷地から速やかに離れるよう協力を求めた。

会場の外では市の職員らが密を回避するよう誘導。プラカードを使って呼び掛け、背中部分に、式典後の会食を控えるよう注意書きを付けるなど、しきりに啓発した。

中之島地区の代表で舞台に立った和歌山信愛大学の正木春香さんは「直前まで式ができるのかどうか不安でしたが、開催してもらい感謝の思いでいっぱい。自分たちが感染させないという決意で臨みました。この気持ちを忘れず、これからも大人としての自覚や責任を持って行動したい」と晴れやかな表情だった。

紀の川市では、市の職員はフェイスシールドと手袋を着用。付き添いの式典参加は不可とし、新成人のみとした。入り口では住所などの情報を記入し、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」(ココア)の登録を呼び掛けた。

岩出市は30分に規模を縮小し、来賓の数を最小限に。終了後は速やかに会場を離れるよう職員が呼び掛けた。

海南市も2部制にし、検温やマスク着用、手指の消毒などを徹底。紀美野町では入り口のサーマルカメラで検温し、保護者は別室に設けられたモニターで式典を見守った。

県外の往来自粛が呼び掛けられる中、複雑な思いで帰省と参加を決めた新成人もいた。京都の大学に通う新成人は、電車での移動を避け、家族に車で京都まで迎えに来てもらって年末に帰省したといい「同窓会もなくなって残念ですが、自分が感染させないよう行動したい。大人数で集まったり会食したりするのは避け、静かにお祝いします」と話していた。

新成人の代表はマスクやマウスシールドを着用(和歌山市)

新成人の代表はマスクやマウスシールドを着用(和歌山市)

市の職員らが背中に注意書きを付けて呼び掛けた(和歌山市)

市の職員らが背中に注意書きを付けて呼び掛けた(和歌山市)

十分に間隔をとって着席(紀の川市)

十分に間隔をとって着席(紀の川市)