紀州へら竿の工房 高野線紀伊清水駅に開業
国の伝統的工芸品「紀州へら竿」の製作を体験できる「匠工房」が南海電鉄㈱高野線の紀伊清水駅(和歌山県橋本市)に開業する。
紀州へら竿は3種類の天然の竹を組み合わせて作られ、130年以上の歴史がある。同駅の近くには製竿師の工房やヘラブナ釣りを体験できる「隠れ谷池」もある。駅周辺の活性化を目指し、同社、紀州製竿組合、同市が共同で駅舎のリノベーションを行う。
工房は過去に駅係員の仮眠室や炊事場として使用されていたスペースに開業。紀州へら竿の製作工程のうち、火入れと穂先削りの両工程を体験することができる他、気に入った紀州へら竿を購入することもできる。見学無料で事前予約は不要。体験は事前予約制で1回1時間~、料金は2000円(税別)から。開業時期は今月から来月ごろを予定している。
同駅は橋本駅と学文路(かむろ)駅の間にある木造平屋の駅で、紀の川が近くを流れる。一日の平均乗降人員(2019年度)が251人で減少傾向にあり、2010年から無人駅となっている。工房の開業後は紀州へら竿職人が駅構内の清掃、忘れ物の一時預かり、介助が必要な駅利用者の手伝いなど、駅係員業務の一部に協力する。テナント運営と駅係員業務の一体的な運用は同社の駅係員無配置駅では初めてという。