オンラインでつながる 東日本被災地と交流

離れていても、心はつながる――。毎年年末に、和歌山県産ミカンを携えて東日本大震災の被災地を訪れている県内の青年ボランティア団体の有志が、ことしも現地住民と交流。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、例年のような訪問はかなわなかったが、2日間にわたってオンラインでつながり、楽しい時間を共有した。温かい結び付きは10年近くになろうとしている。

参加したのは県BBS連盟、和歌山市青年団体協議会の有志ら4人。震災があった2011年、宮城県石巻市にストーブを届けたのをきっかけに、交流がスタートした。翌年から毎年メンバーが県産ミカンを食べて冬を元気に過ごしてもらおうと車で届け、工夫を凝らした「みかん狩り運動会」を開催。共に体を動かし交流を重ねてきた。

ことしは2日間に分けて石巻市、名取市と映像をつなぎ、子どもや大人、合わせて約100人の笑顔が画面にあふれた。

事前に送った有田みかんは1250㌔で、助成金を活用したり、有志で購入したりして用意。昨年はインターネットで資金を募るクラウドファンディングを行ったこともあり、「ことしも応援するよ」と、ミカンを支援してくれる人もいたという。和歌山市の和菓子店「紫香庵」も手作りの和菓子キットを提供した。

メンバーは、お決まりの着ぐるみのパンダ姿などで参加。県BBS連盟の高垣晴夫会長(58)が「しっかり運動し、ミカンでビタミンをとって免疫を高めコロナに打ち勝ちましょう」とメッセージ。宮城県の健康体操「やっぺぇたいそう」で体を動かし、じゃんけん大会も盛り込んだ。また、和菓子の作り方の動画や、ミカンを皮ごと4分割する「和歌山むき」も紹介した。

津波で多くの人が犠牲になった石巻市では、現地から慰霊碑で黙とうをささげる姿が映され、和歌山のメンバーも一緒に黙とうした。

宮城県BBS連盟の森義道会長は「助け合う心を持って10年近く交流してくれ、ありがたい。和歌山のミカンも人の心も味わい深いです」と感謝。

高垣会長は「思っていた以上に一体感があり、オンラインでの交流は可能だと感じた。それはこれまでのつながりの蓄積があったからこそ」と話し、「『ほっとけない』との思いで交流を重ねてきた。被災地は少しずつ元気を取り戻しているのを感じますが、原発の廃炉作業などまだまだ大変。和歌山でも災害への備えを怠らず、コロナ禍が去った後の交流を楽しみにしたい」と笑顔で話していた。

オンラインで東北と交流するメンバー

オンラインで東北と交流するメンバー(和歌山市青年団体協議会提供)

宮城県の様子が映像で届いた

宮城県の様子が映像で届いた(和歌山市青年団体協議会提供)