じっくり熟成 「蔵出しみかん」出荷ピーク
和歌山県海南市下津町で作られているブランドミカン「蔵出ししもつみかん」の出荷がピークを迎えている。
急傾斜地に独自の石積み技術を利用して栽培されている「蔵出しみかん」は、12月に収穫された品種「林温州」を土塀で造られた貯蔵庫で約1カ月間保存。温度は5~8度、湿度85%に保たれた貯蔵庫内で熟成させる「下津蔵出しみかんシステム」は2019年に日本農業遺産に認定されている。
ミカン園内に設置された貯蔵庫で木箱に入れて熟成させるため、畑の自然環境に近い状態で、酸みが抜けて糖度が増したミカンに仕上がる。
JAながみねによると、令和2年度産は梅雨時期の長雨により品質の影響が心配されたが、夏場の乾燥により糖度が上昇し、秋の台風被害もなかったことで、糖と酸のバランスがとれた品質となっている。出荷される「蔵出しみかん」の出荷予想数量は3500㌧で、前年対比129%(19日時点)となっている。
貯蔵庫では、木箱に保管され甘みを増したミカンが出荷を待ち、JAながみね理事で下津柑橘(かんきつ)部会の岡本芳樹副部会長は「平年以上の出来栄えになっているので、ぜひ味わってほしい」と話している。