新型コロナワクチン 高齢者への接種始まる
65歳以上の高齢者を対象とした新型コロナウイルスワクチンの接種が12日、全国で始まり、和歌山市では8医療機関で行われた。ワクチンの供給量が少なく、4月中の接種は市内で約1500人にとどまるが、5月中旬以降には一日当たり1000人程度の接種が可能な量が供給される見通し。いち早く接種を終えた高齢者は「早くしてもらいたかった。うれしい」などと安心した表情で話した。
市内の接種対象の高齢者は約11万6000人で、4月中に接種できるのは1・3%にとどまる。3月31日に始まった予約は狭き門となり、「やっと電話がつながったら、もう300人待ちと言われた」などと嘆きの声も聞こえてくる。
市は、かかりつけ医で接種する方式を採用。初日の実施は準備が整った8カ所にとどまったが、12日の週、19日の週にかけて順次、116カ所で行われる。
秋葉町の田中内科医院では、5人が問診や血圧測定などの簡易な診察の後、診療室で接種を受けた。上腕への注射は10秒ほどで終わり、近隣に住む古川一美さん(95)は「ワクチンに期待していたので非常にありがたい。全く痛くなく、簡単に済んだ」と笑顔。ボーイスカウト活動に長年携わっている山本一郎さん(85)は「子どもに接する機会が多いので早く受けたいと思っていた。ワクチンはメリットがデメリットを上回ると思う。国民全員が早く受けられるように進めてもらいたい」と話していた。
5カ所の医療機関で接種の様子を視察した尾花正啓市長は、5月中旬以降は国から十分な量のワクチンが供給される見通しだとし、市内の高齢者への接種を7月上旬には終えたい考えを示した。その上で、「ワクチンは発症と重症化の予防に効果がある。市内でも感染が急拡大しており、ぜひ打ってもらいたい」と呼び掛けた。
本紙エリアの他の市町のワクチン接種の予定は次の通り。
紀の川市は約2万人が対象。市内の医療機関での個別接種を基本としているが、ワクチンの供給量が少ないため、今月22日から5月にかけては集団接種を行い、量が確保されてから個別接種を始めることにしている。
海南市の対象者は約1万8000人。19日以降、市内に8カ所ある高齢者施設の入所者への優先接種を行い、その他の高齢者には5月中旬ごろから市内33カ所の医療機関で個別接種を進める予定。
紀美野町は、4150人を対象に、下佐々の総合福祉センターで集団接種を予定しており、5月中旬以降には町内5カ所の医療機関での個別接種も始める。