国産ロボで手術に成功 県立医大が2施設目

和歌山県立医科大学は21日、国産初の医療用ロボット「hinotori(ヒノトリ)」を用いた手術に成功したと発表した。神戸大学に続き、国内2施設目として4月6、20日に前立腺がん全摘除術を施行した。さらなる普及が期待される。

これまで国内では医療手術ロボットとしては、米国製の「daVinci」(ダヴィンチ)のみを使用。同大では2012年に導入し、ダヴィンチSiとダヴィンチXiを用いて1000例以上の手術を行ってきた。

ダヴィンチは高性能ゆえ、機器が非常に高価でメンテナンスにも費用がかかる。また、開発したのが海外企業のため不都合な点を改善する機会がほとんどなかった。

ヒノトリは川崎重工業などが出資する神戸市の医療機器メーカーが開発。高精細な3D画像で自然な色彩のため見やすく、執刀医と助手の医師とのコミュニケーションも取りやすい。

またコンパクトで機能的なロボットアームなので、腕のように滑らかな動作も可能になる。人間工学に基づく設計により、執刀医の疲れが軽減されるのも特徴。国産のメーカーであるため開発者との意思疎通を図りやすいのも利点だ。

ヒノトリによる前立腺全摘除術は6、20日に70代の男性2人に施行。術後はどちらも合併症もなく経過は良好だという。

21日に開かれた記者発表で、同大医学部泌尿器科学講座の原勲教授は「従来のロボット手術と比較しても十分に満足できる感触。しばらくは泌尿器科領域での手術に限定されるが、県立医科大学として3台目の手術用ロボットとして今後も症例を蓄積していく予定としている」と話した。

国産初の医療用ロボット「ヒノトリ」(県立医大提供)

国産初の医療用ロボット「ヒノトリ」(県立医大提供)