農水産物で健康増進 医食同源生薬研究財団
東洋ライス㈱(和歌山市黒田)の雜賀慶二社長は、農水産物で人々を元気にし、年齢を重ねても働ける社会を目指して活動する「医食同源生薬研究財団」を設立した。13日にオンライン記者会見を開き、会長に就任した雜賀社長と米井嘉一理事長、末松広行評議員の3人が、設立にかける思いや展望などを語った。
同財団は、農水産物は太古より生薬として重宝されてきたとし、「医食同源」の実証と社会実装による医療費削減を目的に、4月14日に設立された。
現在87歳の雜賀会長は、複数の疾患を抱え、周囲の人から「病気のデパート」と呼ばれていた過去を振り返り、「病人になってからの対症療法ではなく、日常の食事で病気を防ぐ予防医学を推進したい」と意気込む。
雜賀会長は、特許を取得した同社の「金芽ロウカット玄米」など、亜糊粉層残存米に含まれる「未知の栄養素」は、農水産物の効能の一例にすぎないとし、「世に埋もれた農水産物由来の医食同源品も取り上げていきたい」と述べ、「世に広げるため、いつでも国に特許を譲渡する」と社会貢献に向けたパイオニア精神を見せた。
同志社大学生命医科学部教授を務める米井理事長は「産官学の英知を結集し、独自研究や活動を行うことで、公益財団法人化を目指す」と話し、「将来の日本を担う世代の、経済的、栄養学的な弱者を対象に、日本人の主食で健康寿命を増進させる」と、社会実装の結果を出すことを強調した。
東京農業大学教授で前農林水産省事務次官の末松評議員は、1人当たりの米の消費量と同じく、食料自給率も著しく低下している現状を説明した上で、「食べることを健康的に生きるためのものと捉え、しっかりとした知見を蓄積し、必要な人に提供する社会システムが重要」と話した。
同財団は今後、健康増進や健康寿命の延伸、医療費削減、少子化の打開、地方活性化に貢献できるように研究を推進するとともに、医食同源の研究成果をしっかりと拾い上げ、共有できるようなシステムづくりに力を入れるとしている。