糖度15度超えの甘味「カラマンダリン」
前号では、後世に残したい和歌山の郷土料理である、三宝柑を使った「茶わん蒸し」の作り方を取り上げた。ことしは早くも梅雨入りを迎え、ほとんどの春柑橘(かんきつ)が旬を終えたが、これからの時期もまだまだ楽しめる春柑橘がある。今週は今が旬の「カラマンダリン」=写真=を紹介したい。
カラマンダリンの歴史は大正時代までさかのぼる。大正4年(1915)、アメリカの大学で、日本の温州ミカンにキングマンダリンを交配してできた品種で、昭和10年(1935)に発表。日本では昭和30年(1955)に愛知県の果樹試験場などで栽培が開始された。
当初は酸が高く商品価値が無いとされていたが、春の終わりに収穫されず放置された果実を食べる野鳥の姿を見た職員が改めて調査したところ、甘味が強くなっていることを発見。春の終わりに楽しめる「春みかん」として、各地に広がったという。
見た目は温州みかんに似ており、重さは150㌘程度。4月ごろまで果実が樹になっており、熟成期間が極めて長いことから、果汁が濃厚で水分が豊富。収穫後1カ月程度、減酸のために貯蔵した後、出荷されるため、4月下旬から6月下旬に楽しめる。
主な生産地と収穫量(果樹生産動態等調査、平成30年)は、愛媛県(1515㌧)、和歌山県(480㌧)、三重県(420㌧)。県内の主な生産地は湯浅町、有田市、海南市、由良町など。
春柑橘を食べる今季最後のチャンス。糖度15度を超える甘さが自慢の春みかん。ぜひご賞味を。
(次田尚弘/和歌山市)