感染再拡大で景況下降 先行き改善も不透明
和歌山社会経済研究所の景気動向調査で、2021年1~3月期の県内企業の自社景況判断は、「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業の割合を引いたBSI値がマイナス25・6(前期比2・8㌽下降)に悪化した。4~6月期の見通しはマイナス21・7(同3・9㌽上昇)に改善しているが、新型コロナウイルスの感染再拡大により、先行きは不透明が強くなっている。
調査は県内企業2000社(建設業200、製造業400、商業600、サービス業800)にアンケートで実施し、718社から回答を得た(回答率35・9%)。
1~3月期の景況BSIを産業別にみると、建設業13・9(前期比10・6㌽上昇)、製造業マイナス35・7(同3・3㌽下降)、商業マイナス26・8(同4・0㌽上昇)、サービス業マイナス30・3(同11・4㌽下降)。
建設業は2期連続で上昇し、1年ぶりに景況感を「良い」とする事業者が3割を超えた。
製造業は3期ぶりに下降し、機械・機械部品の一部に改善の動きがみられるものの、全体では約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答している。
商業は20年4~6月期の大幅な落ち込み以来、3期連続で上昇したが、コロナ禍で落ち込んだ売上高・収益などの業績には改善の動きがみられず、厳しい状況が続いている。
サービス業は4産業で最も大きな下降となった。緊急事態宣言の再発令などにより、旅館・ホテル業、飲食業、教養・娯楽サービス業など対個人向けのサービスを提供する事業者を中心に業況が大幅に悪化した。
地域別の景況BSIは、和歌山市がほぼ横ばいのマイナス24・8(前期比0・2㌽下降)、紀北は3期連続上昇のマイナス16・7(同8・5㌽上昇)、紀中は3期ぶり下降のマイナス24・8(同4・6㌽下降)、紀南は大幅に下降し、マイナス37・4(同18・7㌽下降)となった。
4~6月期の見通しは、建設業マイナス3・9、製造業マイナス26・9、商業マイナス24・7、サービス業マイナス21・1で、建設業以外は改善を見込む。
経営上の問題点は、「売上不振」が46・9%でトップ。次いで「人材不足」18・4%、「設備の老朽化」7・8%、「競争の激化」7・5%となっている。
今回の調査では、人手の過不足感、従業員の募集状況についても調査。「不足している」との回答が36・5%で最も多く、「2~3年後には不足する」が24・4%、「過剰である」は10・5%だった。産業別では、「不足している」との回答は建設業で最も多い68・2%で、製造業は31・4%、商業は27・1%だった。