小水力発電所が開所 民間企業出資で県内初
和歌山県内初の民間企業による小水力発電所「金剛の滝 水力発電所」が発電を開始し、このほど、かつらぎ町花園新子の同発電所で開所式が行われた。地域の特性を生かした再生可能エネルギーの活用が広がる中、過疎化が進む花園地域でも、自然エネルギーによる活性化が進められる。
小水力発電所は、滝の流れなどを利用し、1000㌔㍗以下を発電する施設。同事業は2016年度の経済産業省の補助金事業として採択され、「未利用資源の活用による『かつらぎスマートコミュニティ』実現に向けた調査事業」の具体的事業化の第1号になる。
発電事業は小水力発電の専門会社JAGシーベル㈱(東京都、渡邉聡代表取締役)が行い、保安管理は地元の和歌山自然エネルギー発電㈱(和歌山市太田、木村浩造代表取締役)が担う。
小水力発電は、河川の落差水流を利用して発電し、気候条件さえ良ければ24時間365日発電できる安定的な自然エネルギーで、世界的に脱炭素の動きが加速する中で注目されている。同発電所の発電規模は49・9㌔㍗時で、約80軒分の電気を賄える発電量という。
開所式には、中阪雅則町長をはじめ、地元関係者ら約30人が出席。開所式で、渡邉代表は「事業化に至るまでの苦労は、地元の協力もあって克服できた」と感謝。中阪町長は、豊富な森林資源を活用したバイオマス発電などを積極的に導入し、「脱炭素」の流れに合わせ、日本が本年度から始めた「脱炭素先行地域」を100カ所程度認定する制度に花園地域を申請すべく進めるとした。
同発電所では今後も未利用森林資源を活用したバイオマス発電など、地産地消型の発電関連事業を拡大する計画を推進。かつらぎ町と連携し「脱炭素先行地域」の認定を受けるべく、民間支援を結集させる取り組みを進めるという。
小水力発電は、クリーンで持続可能な再生可能エネルギーとして期待されているが、規制や許認可が多く事業化が進めづらい点があるという。木村社長は「和歌山のように豊富な水量を持つ河川が多い県は、積極的に小水力発電を進めるべき」とし、「経済優先の『損か得か』の時代から、自然や環境に配慮した『善か悪』で判断すべき時代では、過去の発想を切り替え、産官学民が連携して地球環境の改善に取り組むことが必要になるのでは」と話している。