和歌山電鐵15周年 つくる会が時計を寄贈
和歌山電鐵(小嶋光信社長)が貴志川線の運行を引き継いで15周年を迎えたのを記念し、同線の運営をサポートしている「貴志川線の未来を〝つくる〟会」(木村幹生代表)は、和歌山駅につり下げ型の大型時計を寄贈した。4日に除幕式が行われ、同社執行役員ウルトラ駅長のニタマらが見守る中、お披露目された。
寄贈されたのは直径70㌢の円形の時計。約60万円(設置工事費含む)をかけ、同線が発着する9番ホーム中央の屋根からつり下げて設置された。電波時計のため、正確に時を刻むことができる。
つくる会は、廃線の危機にあった同線の存続を図るため、2005年9月に沿線住民らを中心に発足。06年4月に運行を引き継いだ和歌山電鐵と協力し、乗客アップのためのイベント開催、駅施設の清掃などのボランティア活動を続けており、現在の会員数は約1800人。
コロナ禍でイベント開催が難しい中、15周年の節目に「お客さまの役に立つものを」と時計の寄贈を決めた。
除幕式は、ことし1月の執行役員就任後、ニタマが初めて和歌山駅の公式行事に出席。ニタマを抱いた小嶋社長と木村代表がロープを引き、時計を除幕した。
小嶋社長は、つくる会の献身的な取り組みに感謝し、「地方鉄道は永続的に時を刻んでいくのが使命。コロナに負けないように、皆さんと手を携えて守っていく」と述べ、同会に感謝状を贈った。
木村代表は「駅に時計は絶対に必要なもの。従来の時計は小さくて気が付きにくかったので、一番見やすい場所に大きく取り付けてもらった。貴志川線が永遠に走り続けるようにお願いしたい」と話していた。
コロナ禍で乗客減 年間250万人へ努力
同線の乗客数は、南海電鉄時代の最終年、05年度の192万2000人から15年度には232万人にまで増加したが、その後は再び減少し、19年度は198万8000人。コロナ禍の20年度は、4~6月が6割以上落ち込むなど大きな打撃を受け、142万2000人にとどまった。
同線が運賃収入で自立した経営を確立するには年間250万人が必要とされるが、コロナ禍の収束が見通せない現在も乗客は約4割の減少が続く。同社とつくる会は、乗客アップの取り組みに今後さらに力を入れていくとしている。