空海の縁で友好提携へ 高野町と中国鼓楼区

和歌山県の高野町と中国・福建省福州市鼓楼区は、将来の友好都市提携に向け、交流を開始する趣意書に調印した。同区は高野山を開いた弘法大師・空海が滞在したとされる地で、空海ゆかりの地の縁から、文化・教育・観光などの分野で交流を進めていく。

県国際課によると、鼓楼区は、福建省の省都・福州市の経済、文化、政治の中心地で、省政府の行政機関などが位置する。面積は35・4平方㌔、人口は約73万人。区内にある開元寺は6世紀に創建された古刹で、空海が唐に渡った際、1カ月以上にわたり滞在し、修学したと伝えられている。

今回の交流は、空海ゆかりの地のつながりをきっかけに福建省側から提案があった。5月12日、趣意書への調印式がオンラインで行われ、平野嘉也高野町長と黄建新鼓楼区長がそれぞれ署名。画面を通して笑顔で趣意書を見せ合った。

趣意書では、文化や教育、観光などの分野で積極的な交流と協力を展開し、「友好都市関係の樹立に向けて共に努力する」としている。

今後は両町区の学校や僧侶の交流などが想定され、新型コロナウイルスの感染が収束すれば、観光分野の交流も広げていく見込み。交流の実績を重ね、正式に友好都市提携を目指すことになる。

県内市町村と中国の都市の友好提携は、和歌山市や紀の川市など6市町がすでに締結し、白浜町が締結に向けた覚書の段階となっており、高野町は8番目。福建省の都市とは初めてとなる。

オンライン調印式に出席した平野町長(県提供)

オンライン調印式に出席した平野町長(県提供)