レモンのような見た目「はるか」
前号では、柑橘(かんきつ)の魅力を余すことなく活用できる「オレンジピール」の作り方を取り上げた。今週より一風変わった春柑橘の数々を紹介したい。
まずは「はるか」という品種。柚子が変異してできたとされる「日向夏(ひゅうがなつ)」がさらに自然交雑したもので、1980年に福岡県で発見され、96年に品種登録された。
一般的な柑橘で見られる橙色ではなくレモンに近い黄色で、ゴツゴツした外皮から、レモンのような酸っぱさを連想するが、実際には酸味が少なく爽やかな甘さ。旬は2月から4月ごろ。
特徴的であるのがその食べ方。外皮の分厚さから手でむくのは難しく、果実の中心部分に種が多いことから、まるで桃を切るときのようにナイフを使い、果実の中心部分を細く残すように縦に切る。さらに果実を回し、複数回(8回程度)に分けて切り進めると、種が多く集まった円柱型の中心部分と、種がない実の部分に分かれる。最後に実の部分を横に切り、半月の形に仕上げれば、食べやすくなる。
他にも、果実を横半分に切り、断面から実をスプーンで食べるという方法もある。筆者が購入したはるかの包装には「スプーンで食べる柑橘」とうたわれており、試しにスプーンで食べてみることにした。見た目によらず、実は柔らかく水分が豊富で、プルっとした食感。
スプーンで食べるという一般的な柑橘とは違った食べ方が楽しめる「はるか」。農水省統計(2017年)によると、収穫量の1位は広島県(735㌧)で、和歌山県は4位(107㌧)。県内でも流通しているので、来シーズン、柑橘売り場で見つけ試してみてほしい。(次田尚弘/和歌山市)