太平洋岸自転車道1487㌔ 男性2人が走破

千葉県銚子市から和歌山市までの沿岸部を結ぶ1487㌔の「太平洋岸自転車道」を、和歌山市の自転車愛好家2人が9日間かけて走破した。より魅力的なサイクルルートになるよう検証し、各地での交流を自転車環境の向上や観光誘客につなげようという試み。15日に終点の加太にある記念モニュメント前に到着した2人は「遠くて長かったが、自転車だからこそ得られる景色や情報があった。人をつなげる楽しい1400㌔だった」と達成を喜んだ。

太平洋岸自転車道は千葉、神奈川、静岡、愛知、三重、和歌山の6県の太平洋沿岸部をつなぐ道路。世界に誇り得る自転車道の一つとして、5月に国が「ナショナルサイクルルート」(NCR)に指定した。

走破したのは、同市の会社員で、アマチュアのロードレース大会で優勝経験があるゴンザ(本名=川嶋祐紀)さん(36)と、和歌山市職員で、NCR指定に向けた活動にも携わった西林孝紘さん(36)。

2人は「太平洋岸自転車道を繋(つな)いじゃえプロジェクト」と銘打ち、7日に始点の銚子市を出発。新型コロナの感染対策を講じて一日に100~230㌔を走り、各地で自転車環境の向上に取り組む公共・民間団体や個人と交流の輪を広げてきた。

また、ルートを走行しながら安全性や快適性、標識などを確認。地図ではルートになっているものの実際にはつながっていない箇所もあり、道に迷って引き返すこともあったという。フェイスブックなどで、賛同・応援してくれる団体や個人などを募り、期間中は毎晩、ルートの課題など走った感想を動画で配信した。

最終日となったこの日は、早朝に御坊市を出発。同市のサイクリスト有志も和歌山市まで伴走した。午後3時すぎに加太に入り、仲間や関係者が大きな拍手で迎える中でゴール。涙を拭いながら抱き合い、感動を分かち合った。

セレモニーで、尾花正啓市長は2人に感謝状を贈呈。「今回の検証を基に整備に努め、世界中のサイクリストが『一度は走ってみたい』と思うようなサイクルルートにしていきたい」と話した。

9日間のスケジュールのうち、7日間が雨という過酷な走行となったが、ゴンザさんは「サイクリングコースとしては、県内のルート設定は比較的良かった。自転車がつなげてくれた人の縁を大切に今後に生かしたい」と笑顔。西林さんは「指定されたからといってそのままにしておくのでなく、いかにこの観光資源を生かすか仕組みづくりも大切。走る人の気持ちになって、整備を継続してもらえるとうれしい」と話した。

 

家族や仲間に囲まれ走破を喜ぶ2人