郷土の偉人誇りに 陸奥宗光像建立50周年
和歌山市出身の元外務大臣、陸奥宗光(1844―97)の銅像が同市に建立されてから50年になることを記念した式典と講演会が21日、市内で行われた。参加者は明治時代に不平等条約の改正などに尽力した陸奥の功績を振り返りながら、郷土の偉人を語り継いでいく思いを新たにした。
陸奥宗光外務大臣の功績を教育に活かす実行委員会が主催。
陸奥は明治27年(1894)に外務大臣として日英通商航海条約を締結したのを皮切りに、欧米諸国との不平等条約による「治外法権」の撤廃に尽力し、その手腕からカミソリ大臣と呼ばれた。
同市岡山丁の岡公園にある陸奥の銅像は、その功績をたたえようと1971年の陸奥宗光伯の命日である8月24日に、明治100年、県制100年、和歌山市政80年の記念事業として建立された。
銅像前で行われた記念式典には尾花正啓市長の他、市立加太中学校の生徒会メンバー、県立和歌山工業高校ラグビー部員ら約70人が参加。50年前の除幕式と同様に、式典を再現した。
刺田比古神社の岡本和宜神職よる祝詞奏上に続き、関係者らが玉串を奉てん。
同実行委員会の石田千晴理事は「和歌山の誇る偉人をもっと認識してもらえたら。友人や家族に話して輪を広げてほしい」とあいさつした。
参加者はタオルを手に、建立以来初めて銅像を磨いた。
磨き終えた加太中学校の3年の大石結心(ゆい)さん(14)は「陸奥宗光を詳しく知らず、調べるきっかけになった。知っていくうちにすごいだけでなく、面白い人だなってはまってしまった。帰ってから家族に話したい」と笑顔。石田理事は「今後も銅像をきれいにするために続けていきたい」と話した。
式典に先立ち、和歌山ビッグ愛で行われた記念講演会には約120人が参加。外務省の宇都(うと)隆史外務副大臣が特別基調講演。同省外交史料館「日本外交文書」の冨塚一彦編纂室長が「陸奥宗光外務大臣の築いた歴史」を演題に話した。また、「宗光と龍馬が夢見た世界」をテーマに全国龍馬社中・常任相談役、郷士・坂本家十代、坂本匡弘さん、冨塚さん、和歌山市議会議長の吉本昌純さんが、宗光の功績や人となりについて意見交換した。