病床使用率9割超 集団感染続き医療逼迫

和歌山県は21、22日の2日間で、県内で乳児から80代の154人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。田辺保健所管内で個人宅での法要に参加した親族8人(うち1人は県外計上)の感染が確認され、75例目のクラスター(感染者集団)に認定された。入院中の患者は過去最多の505人に達し、病床使用率は91・8%で、4月25日以来119日ぶりに90%を超えた。

154人の保健所管内別内訳は、和歌山市71人、海南3人、岩出14人、橋本8人、湯浅7人、御坊15人、田辺17人、新宮8人、県外11人。

クラスターとなった法要は、13~15日に県内と大阪府から親族31人が集まって行われ、密な空間での接触や飲食を共にしたことが感染を広げた要因とみられている。県福祉保健部の野㞍孝子技監は「感染拡大地域から人を招く集まりには十分留意してほしい」と話した。

発表済みのクラスターでは、和歌山市の会計事務所関係の感染者が2人増えて計7人、同市の病院関係が3人増えて計25人、海南市の自動車教習所関係が1人増えて計7人、田辺市のバー関係が8人増えて計19人となった。

昨年8月に従来株に感染していた20代男性の再感染も確認された。

直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は県全体で過去最多の54・2人。保健所管内別では多い順に、御坊78・1人、和歌山市59・3人、田辺52・7人、岩出46・1人となっている。

県内の感染者は累計3976人、入院中の患者のうち重症者は16人。変異株スクリーニング検査による陽性者は累計1894人で、うちデルタ株が622人(うち44人はゲノム解析で確定)。

野㞍技監は、病床使用率が90%を超えたことにより、入院調整が厳しく、陽性判明後の即日入院が難しくなっている現状を説明。「医療が逼迫(ひっぱく)している状態。さらに集団感染が起これば、県民の命が守れない事態になりかねない」と危機感を示した。