復興の軌跡を記録誌に 紀伊半島大水害10年

和歌山県内で死者・行方不明者が61人に上った2011年9月の紀伊半島大水害の発生から10年を機に、県は被害状況や復興の歩み、教訓を生かした防災の取り組みなどをまとめた記録誌『紀伊半島大水害復興10年の軌跡』を発刊した。

記録誌はA4判、112㌻。被災地の写真、地図、図表などとともに、被害状況や応急的な復旧、被災者への支援などがまとめられ、県や各機関がいつ、何をしたのかが詳細に記録されている。

大水害を教訓とした取り組みの紹介には半分近い約50㌻を割き、災害時緊急機動支援隊の創設、災害医療体制の強化、ダムの事前放流、迅速な避難行動を促す各種システムの整備など、10年間の多様な政策、事業が掲載されている。

被災地住民のインタビューも掲載し、表紙には、深層崩壊による土砂崩れで5人が犠牲になった田辺市伏菟野(ふどの)の満開の桜を、復興のシンボルとして採用している。

1500部を発行し、国や都道府県、県内の市町村や図書館、防災関係機関などに配布した。

仁坂吉伸知事は「同じようなことが二度と起こらないようにするのが、われわれの課題。この10年、どんな無茶苦茶なことになったか、どれだけみんなが頑張り、その結果を踏まえて、どんな用意をしているかをたくさん載せている。多くの県民、国民に知ってもらいたい」と話している。

記録誌『紀伊半島大水害復興10年の軌跡』

記録誌『紀伊半島大水害復興10年の軌跡』