全域で飲用が可能に 和歌山市北部断水
六十谷水管橋の崩落に伴う和歌山市紀の川北部地域の断水で、市は10日午後8時に対象地域全域で飲料水としての使用が可能になったと発表した。家庭や事業所によって濁り水が残っている箇所もあるため、11日も市立小中学校29校で応急給水は続けられた。市は、崩落の原因を究明する検証委員会を数日中に立ち上げ、本格復旧の方法、水道料金減免などの補償についても検討を進める。
9日午前8時30分から順次、各世帯への給水が再開されたが、高台の地域などは断水がなかなか解消せず、水圧が弱い地域、濁り水の発生なども続いた。
10日正午時点で有功地区の高台約1000世帯で給水が再開されていなかったが、午後4時ごろには開始。6時15分には、鳴滝、貴志の2カ所の配水池から給水している鳴滝川以西地域で、飲用できる水質が確認された。同川以東地域でも市企業局による水質検査が続けられ、8時に結果が良好となり、断水していた全域での飲用が可能となった。
県内外各地の応援を受けた給水車による応急給水活動は、最大180台の態勢で10、11日も続いたが、災害救助法に基づき県が3日午後11時に要請した陸上自衛隊の派遣は、9日午後9時で終了。延べ1160人、299車両が活動し、1058軒に水を宅配した。
11日朝、瀬崎典男公営企業管理者は市役所で報道陣の取材に対し、紀の川北部の住民に改めて陳謝した上で、自衛隊や国、県、他市町村、民間のボランティア、各団体などの協力に感謝。さらに、水道栓を閉めること、節水への協力などの市からの要請について「すぐに対応し、住民の皆さんにやっていただいたおかげで、早い給水ができた。ありがとうございました」と述べた。
給水が全域で回復した10日午後4時以降、9時までに市には29件の問い合わせがあり、翌11日朝にも数件寄せられたが、いずれも濁り水に関するもので、断水が解消していないという内容のものはなかった。
瀬崎氏は、水管橋崩落の原因を調査する検証委員会を数日中に立ち上げると述べ、本格復旧に向けた方法の案などもできるだけ早期に示す考えを示した。
断水の影響を受けた家庭、事業者への補償についても検討し、原因究明の上で対応を公表する見通しとなっている。