紀州藩主の行列を再現 「ぶんだら節」盛況
和歌山市の夏の風物詩として親しまれる「第53回紀州おどり『ぶんだら節』」と「おどるんや~第17回紀州よさこい祭り」が、開催中の「紀の国わかやま文化祭2021」(第36回国民文化祭、第21回全国障害者芸術・文化祭)に合わせ、文化の日の3日、和歌山城周辺で2年ぶりに開かれた。紀州徳川家の大名行列が再現されるなど見どころたっぷりで、沿道は多くの市民らでにぎわった。
両イベントは、新型コロナウイルスの影響で昨年は中止。例年は夕方から行われる「ぶんだら節」は、今回は秋晴れの爽やかな空の下、午前10時45分にスタートし、六番丁交差点から和歌山城西の丸広場までの約700㍍の区間を、24連約1700人が踊りながら進んだ。
開会式で紀州おどり実行委員会の宇治田良一会長は、開館したばかりの和歌山城ホールにふれ、「和歌山城ホールはまだぶんだらを知らない。こんな踊りやと見せてやってほしい」とあいさつ。紀の国わかやま文化祭広報キャラバン隊長の兄弟お笑いコンビ「すみたに」やスペシャルインフルエンサーのモデル・本谷紗己さん、マスコットキャラクター「きいちゃん」も登場し、会場を盛り上げた。
今回も、黒潮躍虎太鼓の演奏と雑賀衆の火縄銃演武が開幕の合図。陣羽織に兜(かぶと)姿の尾花正啓市長が、雑賀衆に鉄砲の発射を告げる声を掛け、采配を振るった。
踊り手たちの先頭に立ったのは、徳川御三家・紀州藩の大名行列の再現。文化庁の補助事業を活用し、同藩が編さんした歴史資料『南紀徳川史』や行列図に基づいて復元した大名駕籠(かご)、藩士の衣装や道具を使い、約40人が厳かに練り歩いた。駕籠に乗る藩主は、公募で選ばれた市立楠見東小学校3年の中瀬博士(ひろと)さんが務め、沿道の市民らに手を振った。
大名行列に続き、来年に創始400年の節目を迎える紀州東照宮の大祭「和歌祭」を全国にアピールしようと、渡御行列の演目から「餅搗(もちつき)踊」「腰元」「甲冑(かっちゅう)」「母衣(ほろ)」などが参加し、伝統の時代絵巻を城下に披露した。
その後は、アップテンポの「ニューバージョンぶんだら21」、オリジナルの「正調ぶんだら節」に合わせて、各連がにぎやかに踊った。
今回のぶんだら節の模様は、21日午後2時から、テレビ和歌山で放送される。