県ゆかりの皇室の名宝 県立博物館で特別展

和歌山ゆかりの皇室の名宝を紹介する特別展「和歌山と皇室―宮内庁三の丸尚蔵館名品展―」が1月23日まで、和歌山市吹上の県立博物館で開かれている。皇室から寄贈された美術品を保存、研究、公開する宮内庁三の丸尚蔵館の皇室コレクションの中から、和歌山ゆかりの作家の絵画や工芸品、県内の名勝地を主題とした作品など資料38件47点が並ぶ。

前期(28日まで)と後期(来年1月4~23日)に分けて展示。このうち同市出身の日本画家・下村観山筆「光明皇后」は、聖武天皇の后・光明皇后が仏に祈りをささげる姿を描いている。下村観山は、代々紀州藩の能の小鼓方を務めた家柄で、日本美術院(院展)を中心に活躍し、横山大観と並び近代日本画壇に重きをなした。

また小栗判官と照手姫の恋愛模様を描いた大絵巻「をくり(小栗判官絵巻)」は、全巻15巻、全長320㍍を超す大作で、このうち巻十三を展示。地獄からよみがえった小栗が熊野本宮・湯の峰の温泉の効能により、餓鬼から人間の姿に戻るところを極彩色で描い
ている。

この他、和歌山市出身の日本画家・川端龍子が1938年御下命により制作した「松鯉図」やトルコ皇帝の使者がエルトゥールル号で来日した際、明治天皇に贈った豪華な卓被(テーブルクロス)も展示している。

展示を担当した同館の新井美那学芸員は「三の丸尚蔵館の資料をまとめて紹介する初めての機会。和歌山ゆかりの見応えある大作がそろっている」と話している。

1月8日は、宮内庁長官官房参事官の朝賀浩さんを講師に迎え、「紀の国を旅する」と題した講演会を午後1時半から3時まで、県立近代美術館2階ホールで開く。事前申し込み制、先着50人。

午前9時半から午後5時(最終入館は4時半)まで。休館日は月曜(1月10日は開館し、翌11日は休館)と12月29日から1月3日まで。入館料は一般520円、大学生310円。高校生以下と65歳以上、障害者手帳の交付を受けている人、県内に在学中の外国人留学生は無料。

申し込みや問い合わせは同館(℡073・436・8670)。

 

トルコ皇帝から明治天皇に贈られた豪華な作りのテーブルクロス