模擬裁判で理解深める ジュニアロースクール
和歌山弁護士会主催の「ジュニア・ロースクール」が11日、2年ぶりにオンラインで開かれ、県内三つの高校(開智、近畿大学付属和歌山、和歌山信愛)から9人の生徒が参加。架空の民事事案に対し、調停員役となって模擬調停に臨んだ。
同会は高校生を対象に、法や司法制度の背景にある価値観や考え方を学んでもらおうと、「法教育」の一環として年に1度、同スクールを開催。今回で11回目となる。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止したが、ことしは初の試みとしてウェブ開催に対応できるよう、これまでの刑事事件の裁判員裁判から初めて民事調停に変更した。
開始冒頭、同会の堀江佳史副会長が「今後答えのない課題に直面したときに、どういうふうに解決するかを考える助けになれば」とあいさつ。模擬調停は、寺の住職が静かな環境を守るため、商店街にイルミネーションをやめるよう調停を申し立て、商店街側も寺に早朝の読経をやめるよう求めるといった想定で行われた。
調停員として参加した生徒らは、申立人と相手方それぞれの対立する主張に耳を傾けた後、二つの班に分かれ、現役弁護士にアドバイスを受けながら評議。双方への質問を通して問題の解決策を考え、イルミネーションの点灯開始時間や設置場所、読経時間の変更などの調停案を発表した。
生徒らが発表した調停案は双方に受け入れられ、調整が成立。生徒らからは、「双方の意見を聞いて解決案を出すのが難しかったけれど、楽しかった。貴重な経験ができた」「いつも学校でやるような答えのある問題でなく、しっかり自分で考えてみんなで話し合うのが楽しかったので、将来このような道に進めたらいいなと思う」などの声が上がった。
同会法教育委員会の上岡勇介委員長は、「聞き方一つでもどこまで話を引き出せるかなど、法律上の裁判だけではなく、日常生活でも役に立っていくことなので、ぜひ今後に役立ててもらいたい」と期待を込めた。