高齢者見守る特製弁当 三田地区配食サービス
コロナ禍で会食の機会が失われる中、和歌山市内42地区に設置された地区社会福祉協議会(地区社協)は、同市社会福祉協議会(市社協)と連携し、1人で暮らす高齢者の見守りを主な目的として弁当などを自宅に届ける「ふれあい配食サービス」という新たな事業を始めた。
同市三田地区社会福祉協議会はこのほど、市内で初めて同事業を実施。同地区で1人暮らしをする自治会加入の65歳以上の高齢者、約250人を対象に、事前に回覧や訪問で同サービスを周知したところ、希望者は半数近い115人に上った。
弁当は、同地区内に販売店がないことなどから、㈱フーズファイル(同市築港)に依頼。同社が、同地区社協の阿波保会長(76)の「昔は近くの和田川でウナギがとれた。その時代の人たちもいるので、ウナギは入れたい」という要望に応え、「鰻(うなぎ)ひつまぶし風ご飯」や「県産太刀魚の天ぷら」など、10品が入った豪華な「三田特製弁当」を完成させ、デザートにカステラも用意した。
この日、同地区社協の役員や、市社協の職員らが希望者の自宅を一軒一軒訪問し、見回り活動の一環として「三田特製弁当」を配布。同地区の中西智子さん(82)は、「こんな機会を頂いてありがたい」と弁当を手に感謝を伝え、「食べるのが楽しみ」とにっこり。
近所に住む森下登美子さん(85)は「みんなで集まる機会がなく寂しい」、佐々木千枝子さん(71)は、「ちょっとしたことでも人と関わるっていいなと思った」と話した。
三田地区内ではこれまで地区内の保育所や小学校、施設などで地域の人と会話を楽しみながら食事をする「ふれあい食事サービス」を年間6~7回実施しており、20~30人が参加していたという。
コロナ禍で配食という形になり、これまでは会場へ出向けなかった人も参加できるようになるなど、幅広く見守りができるようになったとし、阿波会長は「これを機に、さらに地域とのつながりが強くなっていけば」と願っている。
市社協は今後も各地区社協と連携しながら、雑賀崎や和歌浦地区など、同事業の実施地区を広めていくという。