感染爆発も死亡率低下 県内第6波まとめ

和歌山県は、県内の新型コロナウイルス第6波(1月4日~)の感染状況を発表した。オミクロン株による感染爆発が起こり、陽性者数は26日時点で第1~5波の合計の4倍を超える2万2134人。肺炎に至った例はデルタ株と比べて少なく、死亡率は各波と比べて最低の0・22%にとどまった。一方で、第5波までの全員入院体制が継続できなくなったことにより、高齢者施設内での死亡例や病状の悪化に伴う救急要請などが増えた。

第6波は10代以下の感染が多く、全体の32・1%。70代以上の高齢者も第5波の7・5%を上回る9・3%だった。

肺炎の併発が確認された患者は、2月20日時点で新規感染者の3%に当たる464人で、第1~5波の昨年10月末までは35%だったのに比べ、比率は大幅に下がった。464人の年代別は、40代以上が約9割で、特に70代以上が58%を占めた。

死亡者は3月14日時点の累計107人のうち、第6波が4割超の45人と多いが、死亡率は最も低い0・22%。過去の各波の死亡率は、ワクチンがまだなかった第1波が4・76%と最も高く、第2波0・47%、第3波1・56%、第4波2・02%、第5波0・50%と推移している。

死亡した場所は、107人全体では7%にとどまる高齢者施設内が、第6波に限ると18%に達した。全員入院が困難になり、施設内での療養を余儀なくされた患者が増えた影響とみられる。

クラスター(感染者集団)の発生も、第6波は高齢者施設関連が多いことが特徴で、27日時点の176件のうち51件(29%)に上った。

病状の悪化により緊急で県が入院、受診調整を行う事例が続いており、1月22日~3月19日で調整がなかったのは一日のみで、多い日で14件だった。1月下旬から2月下旬は施設入所者の救急要請が多く、2月中旬から在宅の高齢者や小児の事例が増え、一般医療にも影響が出ているという。

ワクチンについては、第6波では2回接種からの時間経過で効果が弱まっていることや、オミクロン株の強い感染力の影響により、感染、発病、重症化予防の効果には従来より低下がみられた。

3回目の接種は重症化防止に効果があると考えられ、県は接種を勧めているが、オミクロン株に対しては感染、発病の予防効果は完全でないことを認識するよう呼び掛け、マスク着用や3密回避など基本的な感染予防対策の継続、徹底が重要としている。

県福祉保健部の野㞍孝子技監は、第6波を「想定外だった。急激な感染拡大で対応できない部分があった」と振り返った。厳しい入院調整をしても、患者が拒み、後に重症化して救急搬送される例が相次いだことから、「保健所が入院が必要と判断したときは入院してもらいたい。救急対応がいつでもできるわけではなく、医療関係者の非常な努力によってできていることを認識してほしい」と話した。

 

県内の年齢別感染者数