現代社会を自由に俯瞰 元小学校教諭が著書

元小学校教諭で和歌山県岩出市在住の前田ゆきみさん(67)の2冊目の著書『風にのって』がこのほど、㈱和歌山新報社より出版された。2017年から21年夏までの出来事や思いを書き記した同作は、人生で出合う一つひとつの出来事を自分らしく受け止めて書いた力作。本を読んだ知人から「幸せのおすそ分けをありがとう」と感想を言われたといい、「おすそ分けをして、少しでも読者に喜んでもらえたらうれしい」と話している。

前田さんは高野町出身。大学を卒業後、大阪府内の小学校教諭として約40年間教壇に立った。

仕事柄、日誌を付けることが多く、自身の行動や考えについても時折、見返しては書き記すことを習慣にしてきた。1冊目の著書『森・川・海』は2011年の東日本大震災をきっかけに自分の生き方や学校、地域について忘れずに残したいという思いを積み重ねて記した。書くという作業が自身を客観的に見つめ直し、気付きを与え、前に進む力になったという。

今回出版した『風にのって』は、急速に変化する現代社会を風にのって飛び立つように自由に、鳥のように俯瞰(ふかん)して書いたというエッセー。自然環境や異常気象、食、学校の風景、変わる社会・意識など全96ページでまとめている。

34~35㌻の「学ぶということ」では、インターネットの普及で多くの知識が入る世の中でも、ネットに頼って正解のある学びを追い求めるだけでなく、自ら正解のない新しい価値の追究を、自分で考える大切さについて記している。

「今後も随所に心を込めて意味を見いだし、自分にしかできない毎日を過ごしたい」と締めくくる前田さんは、書き記していくことで積み重ねの大切さや大きさを実感したという。本を読んだ人からは「題名が良い」「読みやすい」など好評だという。中でも、知人からの「幸せのおすそ分けをありがとう」との声は感慨深くうれしかったという。

前田さんは「ぜひ読んでもらえればうれしい。今後も出来事や考えを書き記していきたい」と話している。

2冊目の著書を手に前田さん

2冊目の著書を手に前田さん