廃棄食材を堆肥に 花王が循環型の米作り

和歌山市湊の花王和歌山工場は20日、敷地内の食品廃棄物の生ごみ処理設備で作った堆肥原料を活用した田んぼで、稲の手植えを行った。同工場の社員食堂から出る食品廃棄物の削減と、廃棄物を再生利用した堆肥原料で作物を育て、収穫物を社員食堂の食材として活用する循環型「食品リサイクル」を目指した同工場独自の試み。

一日平均約600人が利用する同工場の社員食堂では、売れ残りや野菜くずなど非可食部分を含む食品廃棄物が一日当たり1人平均約100㌘、茶わん軽く1杯分出るという。同工場ではこれを再利用できないかと昨年6月、生ごみ処理設備を敷地内に設置。現在は、1週間で約100㌔の食品廃棄物から約10㌔の堆肥原料が作られている。4月にはこの堆肥原料を使った畑にトウモロコシの苗を定植。食品リサイクル構築への第一歩を踏み出した。

この日は、紀の川市東三谷の社会福祉法人きのかわ福祉会「ふるさとファーム」の田んぼで稲の手植え作業が行われ、同工場の従業員6人と施設の利用者ら3人、計9人が参加。

約1反(300坪)あるこの田んぼでは、約200㌔の堆肥原料を活用。田植えは初めてという同工場の従業員たちは、素足で泥の感触を楽しみながら、県の奨励品種「キヌムスメ」の手植えに精を出していた。

植えた稲の収穫は9月下旬から10月上旬ごろの見込みで、従業員らによる収穫体験も予定している。

田植えをする従業員ら(花王和歌山工場提供)

田植えをする従業員ら(花王和歌山工場提供)