扇を手に舞 和歌の浦万葉薪能で披露へ
能楽師が指導する市民向けの能ワークショップが11日、和歌山市七番丁の和歌山城ホールで始まり、参加した子どもたちは真剣な表情で稽古に取り組んだ。練習の成果は、10月9日に同市和歌浦南の片男波公園野外ステージで行われる「第23回和歌の浦万葉薪能」で披露される。
ワークショップは日本の伝統芸能である能楽を和歌山でも広く普及したいとNPO法人和歌の浦万葉薪能の会(松本敬子代表)が始め、ことしで15年の節目を迎える。
ことしは、2歳から高校1年生までの15人が参加し、それぞれの年齢や習熟度に合わせた演目に挑戦。力強い所作が見どころの「竹生島」や、コミカルな動きが面白い「猩々(しょうじょう)」など、本番の舞台を目指して舞と謡(うたい)に精進する。稽古は全6回。
指導するのは、同市の観世流能楽師・小林慶三さん(90)と京都の同、橋本忠樹さん(48)。ことしは小林さんの門下生3人も指導に参加し、子どもたちをサポートする。
稽古では、小林さんらが、子どもたちに一つひとつの型を丁寧に指導。中には初めて扇を持つ子もおり、手を取ってもらいながら舞う姿も。子どもたちは謡に合わせ、力強く「足拍子」を踏んだり、所作の一つ「枕扇」をしたりと、一生懸命に稽古に励んでいた。
5歳の姉と一緒に稽古に参加した、最年少2歳の井上大己さんは「楽しかった」と笑顔。また、4年前から参加している宇治田誠志郎さん(小5)は、「憧れの演目『竹生島』を舞うので、強くかっこ良く舞いたい。最後の飛び返りはビシッと決める」と力強く話していた。