コロナ感染者の全数把握 県は継続の方針

政府が新型コロナウイルス感染者の全数把握を見直し、自治体の判断で発生届けを重症化リスクのある人に限定できるとした措置について、仁坂吉伸和歌山県知事は26日、県は全数把握を続ける方針を示し、「余計に大変になることが多いので、元通りにやるほうがいい」と述べた。

政府が示した見直しは、発熱外来や保健所業務が逼迫(ひっぱく)している地域で可能とする緊急避難措置。発生届けを限定できる対象は、65歳以上、入院を要する人、重症化リスクがあり、コロナ治療薬や酸素投与が必要と医師が判断する人、妊婦。

県庁で報道陣の取材に応じた仁坂知事は、発生届けを限定すると、対象者以外の疫学調査と健康観察ができないため、救急搬送が急増する可能性が大きいことや、救急搬送時にPCR検査などが必須となり、二度手間が掛かる上、処置も遅れることを指摘。

さらに、民間保険の請求に必要な療養証明書などの発行ができず、保健所への苦情や問い合わせが増加する恐れがあること、受診控えや潜在的な陽性者が増える可能性が高く、感染を助長することになりかねない点もデメリットに挙げた。

仁坂知事は政府方針に「批判はない」としたが、「(和歌山のように)真面目にやっているところは、手抜き工事をすれば後でしっぺ返しを食らう」と述べた。