頼貞の体験たどる 南葵音楽文庫コンサート

膨大な西洋音楽資料「南葵音楽文庫」を収集した紀州徳川家16代当主・徳川頼貞の足跡を音楽とともにたどる「南葵音楽文庫ミニコンサート 徳川頼貞 初々しい体験を胸に」が20日午後3時半から、和歌山市西高松の県立図書館2階メディア・アート・ホールで開かれる。

同文庫アカデミー秋講座の一環。同文庫を中心に紀州徳川家に関する歴史や文化を理解し、啓発することを目的に活動している「南葵音楽文庫サポーター」の有志が企画した。

頼貞は1913~15年にイギリスに留学し、大量の資料を集めてアメリカ経由で帰国。翌16年に結婚し、香港旅行、和歌山訪問などと並行して音楽ホール、音楽図書館の開設を進め、さらに資料を収集した。

今回のプログラムは、こうした時期の頼貞にゆかりの曲を集めた。出演は和歌山の若い才能と同サポーター有志で、モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」より(ソプラノ・生駒アンナさん、ピアノ・大川求実さん)、ベートーベンのチェロ・ソナタ第3番より第1楽章(チェロ・有馬陽子さん、ピアノ・柴田陽さん)、ベートーベンのピアノ・ソナタ「月光」より第1楽章(ピアノ・二宮煌太さん)、パーセルのオペラ「ディドとエネアス」より(ソプラノ・瑞樹比美香さん、ピアノ・蟹井貴代さん)、プロコフィエフ「束の間の幻影」他(ピアノ・宮下直子さん)などを演奏する。

出演者は練習を重ねるとともに、南葵音楽文庫研究員の美山良夫慶應義塾大学名誉教授の解説で、同文庫所蔵の貴重な楽譜や書籍に実際にふれ、本番の準備を進めている。

ワーグナーのオペラ「ローエングリン」より結婚行進曲をピアノ連弾で演奏する慈幸栞里さん(和歌山大付属中1年)、松下新奈さん(貴志中1年)は「しっかりと息を合わせて、お客さんが優しい気持ちになってくれるような演奏をしたい」「耳で聴くだけでなく、目でも楽しめるよう、手や演奏する姿でも表現したい」と意気込む。

美山名誉教授は「南葵や頼貞についてより多くの人々、特に若い世代に親しんでもらいたい」と話し、来場を呼び掛けている。

入場無料。要申し込み。問い合わせは県立図書館(℡073・436・9520)。

本番の会場で練習する慈幸さん(手前)と松下さん

本番の会場で練習する慈幸さん(手前)と松下さん