ベトナムと和歌山の交流が活発化 来年は日越外交関係樹立50周年
ベトナムからの要人訪問が相次いでいます。ことしだけでも日越友好議員連盟会長を務める私のもとに、フック国家主席やマイベトナム共産党中央組織委員長、ミン筆頭副首相がお越しになり、日本とベトナムの協力関係強化について、具体的な意見交換が活発になされています。特に安全保障分野においては、「日越二国間だけでなく、地域や国際社会の平和と安定に、より積極的に協力する」との指針のもと、日越防衛協力は「新たな段階」へと確実に深化が進んでいます。
また、経済面でも足もとでは投資、貿易額ともにコロナ前の水準に戻りつつある一方、国際協力銀行の最新の調査によると、ベトナムは3年連続でASEANの中で最も有望な投資先に位置づけられています。日本企業にとって、重要な生産拠点であり有望なマーケットであるベトナムに対する注目は高まる一方であると感じられます。
和歌山県とベトナムの交流も一層重要となってまいります。昨年、「温州みかん」の対ベトナム向け輸出が解禁になったことは、全国一の生産を誇る私たち和歌山県にとって、大変うれしいニュースとなりました。昨年は現地のスーパーで国内価格の約4倍の値段にもかかわらず、瞬く間に完売したと関係者から伺いました。
今シーズン約20㌧の温州みかんが和歌山県から輸出されます。今から結果を楽しみにしたいと思います。
また、コロナの水際対策緩和後、和歌山県内の行政関係者もいち早く行動を起こしています。先月には下宏和歌山県副知事を団長とするベトナム交流団が現地を訪問しました。岸本健紀の川市長や三軒一高太地町長もご同行されました。
現地では、人材交流や観光交流、大学間における学術交流の活性化について、活発な意見交換がなされたと伺っています。中でも、紀の川市を中心とする青少年交流や太地町との鯨類研究を通じた交流など、具体的なプログラムも訪問を機に実現に向け準備がスタートしたことは素晴らしい成果であります。
私はこれらの具体的な成果に加えて、これからは和歌山県とベトナムの農業地域との農業・林業交流を推進するべきではないかと考えています。日本は和歌山県に限らず、農業生産者の高齢化が非常に深刻な問題となっています。農業従事者の平均年齢は67・8歳と言われていますが、生産品目によってはより深刻な現場があります。例えば、有田川町の「ぶどう山椒」従事者の平均年齢は78歳と言われています。このまま放置しては、10年後には「産地消滅」の危機が訪れます。一方、ベトナム農業地域のひとつである北部のランソン省の人口は80万人弱ですが、人口構成で最も多い年齢は18歳人口です。この地域では林業が盛んで、農業もみかん・柿・梅の栽培が盛んとのこと。まだまだ、ベトナムでの林業技術や農産品加工技術は日本と比べると大きく遅れており、彼らは日本に技術指導を期待しています。このような地域と県・市町村が提携し安定的に人材交流を進めることも和歌山県の第一次産業を守る知恵ではないかと思います。
来年は日越外交関係樹立50周年の記念すべき年です。私も和歌山県や各市町村、県内事業者の皆さんとASEANの有望国であるベトナムとの交流促進を全力でサポートしてまいりたいと思います。