電動バイクに蒔絵 紀州漆器組合青年部

和歌山県海南市の紀州漆器協同組合の青年部(田倉裕璽部長)は、公道走行可能な電動バイク(原付)と自転車に切り替えられる「glafit(グラフィット)」に漆器の技法を用いた塗りや蒔絵(まきえ)を施した。

市の委託事業で伝統工芸の後継者育成事業の一環として、紀州漆器の良さや若い世代の活動を広く知ってもらいたいと企画。これまでに同事業の一環で、同青年部は市内の四つの小中学校に漆塗りの校歌の板を制作し、寄贈している。

今回は、和歌山市出島の次世代乗物メーカー「グラフィット」(鳴海禎造代表取締役)と協力し取り組むことに。和歌山で開発された車両区分を変化させられるハイブリッドバイクと、伝統工芸の蒔絵の技術を見てもらいたいと、グラフィットのフレーム部分(縦約10㌢、横約50㌢、幅約5㌢)に、雲の中から飛び出す金龍を立体的に描いた。フレームのベースには、黒色の合成塗料を吹き付け、銀色の粉をまいて雲をイメージ。龍は、版にへらで塗料を薄くのばしてデザインを刷るシルクスクリーン技法を用い、立体的になるようエポキシ樹脂を使用し、金の粉をまいた。青年部の部員11人が週2回集まり、1カ月半ほどかけて完成させた。

躍動感あふれる金龍が、キラキラ光る雲から飛び出してきそうな仕上がりに。角のあるものにシルクスクリーン技法を用いるのは初めてだったといい、田倉部長(41)は「シルクスクリーンは平らな部分にしかできず技術的にとても難しい。龍や塗りの部分もじっくり見てもらえたら。子どもたちに海南にはこれがあると自慢に思ってほしい」と完成を喜んだ。

今後は同組合で実際に乗用し、JR海南駅構内や和歌山市の商業施設MIOなどに展示する予定だという。

青年部の田倉部長㊧と堺さん

青年部の田倉部長㊧と堺さん

ハイブリッドバイクに漆器の技法を施した

ハイブリッドバイクに漆器の技法を施した