和歌山の魅力発信 ほんわかプロジェクト

大学生ならではの力を生かし、和歌山の魅力を伝えたい――。一人の学生の思いで昨年10月に始まった、県内の体験型プログラムを発信する「ほんわかプロジェクト」は、周りの学生らのさまざまな「やりたい」という思いを動かす大きな力になっている。

発起人は、和歌山大学教育学部4年の横山拓さん(24)。2020年10月から2年間休学し、バイクで日本全国の旅へ。現地の人にお薦めの観光スポットを聞いて巡っているうちに、県によって地元愛に差があるように感じたという。

大阪府河内長野市出身の横山さんは、和歌山には観光資源がたくさんあるのに「何もないで」と県民から言われることが多く、「内側から意識を変えていきたい」と思い、復学後に同プロジェクトを立ち上げた。

和歌山には知られざる魅力がたくさん眠っている。〝ほんまもんのわかやま〟を多くの人に味わってほしいとの思いを、プロジェクト名にも込めた。

卒業研究を兼ねてスタートさせたメインプロジェクトの「体験型観光」では、県公式観光サイトに掲載されている体験コンテンツの中から、教育的視点を生かして親子で参加できるものを厳選。

熊野古道のウオーキングや星空ツアー、めはりずし作りといった体験を通して子どもが成長する様子や、事業者と参加者にインタビューし、各体験や県の魅力を広くホームページやSNSなどで発信している。

立ち上げ時は、バイク旅で出会った立教大学(東京都)4年の森悠哉さんとの2人だったメンバーも、徐々に和歌山大学内に仲間が増えてきた。そのうちの一人、教育学部3年の大畑葉月さん(21)は中学生の頃から「磯の浦をきれいにしたい」と思っていたが、1人ではなかなか実行に移せないでいた。

思いを打ち明けた横山さんらと共に昨秋、磯の浦で初めてビーチクリーンを実施。今では一般の人も参加するプロジェクト「ほんわかビーチクリーン」として月に3回、定期的に開いている。

大畑さんは「みんなに会えるのが楽しみで、継続力につながっている」と笑顔。横山さんは「一人ひとりの心の中にある実現できていない思いを輪っかにしていくことで、課題解決以上の力が生まれてくる。この力を人や地域に還元し、県を盛り上げていきたい」と意気込む。

経済学部3年の樫本凱斗さん(22)は、地域の魅力を取材しSNSなどで発信していく「ほんわかリサーチ」という新たなプロジェクトを進行中。

観光学部2年の岡田水緒(みお)さん(20)はデザインを学びながら各プロジェクトのサポートを務めており、「いろんな人の思いや活動を形にして知ってもらうことにやりがいを感じている」とほほ笑む。

一人ひとりの力や思いを掛け合わせ、大学生ならではの視点や発信力で県の魅力を伝えていく「ほんわかプロジェクト」は始まったばかりだが、すでに水輪のような広がりを見せている。

活動をPRする(左から)岡田さん、大畑さん、横山さん、樫本さん

活動をPRする(左から)岡田さん、大畑さん、横山さん、樫本さん