景況持ち直しも収益悪化 和歌山社経研調査
和歌山社会経済研究所の景気動向調査で、2023年1~3月期の県内企業の自社景況判断は、「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業の割合を引いたBSI値はマイナス7・3(前期比0・9㌽上昇)となった。同研究所は「コロナ禍からの持ち直しの動きが持続するも、『原材料価格高騰』等を要因に、収益状況は悪化している」と分析している。
調査は県内企業2000社(建設業200、製造業400、商業600、サービス業800)にアンケートで実施し、704社(35・2%)から回答を得た。
1~3月期の景況BSIを産業別にみると、建設業0・0(前期比2・2㌽上昇)、製造業マイナス15・8(同11・5㌽下降)、商業マイナス6・5(同11・9㌽上昇)、サービス業マイナス5・2(同0・9㌽下降)で、業種により景況判断が分かれている。
4~6月期の見通しは、全産業でマイナス10・2に悪化。製造業がマイナス10・1に改善するものの、建設業はマイナス8・3、商業はマイナス14・9、サービス業はマイナス7・0といずれも悪化を見込んでいる。
建設業の景況BSIは5期ぶりにマイナス水準を脱したものの、鋼材、木材、燃料価格の上昇があり、収益状況は改善の動きがみられず、収益が減少している事業者が約半数を占めている。
製造業は、経済活動の正常化が進む中で、食品や繊維製品で景況BSIが大幅に上昇する一方、原材料価格の高騰や世界経済の減速もあり、木材・木工製品、鉄鋼・金属製品、機械・機械部品では大きく下降した。
商業は4期連続で上昇し、約5年ぶりの高水準。コロナ禍で落ち込んだ経済活動、人流の持ち直しを背景に、業況が改善している一方、仕入れ価格の上昇傾向は続き、収益改善の動きは乏しい。
サービス業は比較的高い水準で推移している。事業者向けサービス業を中心に業況は改善しているが、運輸、飲食、生活関連サービスなどでは原材料費、燃料費、人件費などの高騰により収益状況は悪化。人手不足感も強まっている。
地域別の景況BSIは、和歌山市マイナス5・1(前期比0・6㌽上昇)、紀北マイナス12・1(同0・8㌽上昇)、紀中マイナス9・0(同0・3㌽下降)、紀南マイナス5・9(同2・6㌽上昇)で、紀中以外は上昇。和歌山市は2期連続の上昇となり、コロナ禍以降の最高値を更新した。
経営上の問題点は、上位三つが前回と同じで、1位「原材料価格の高騰」の29・1%、2位「売上不振」の26・4%、3位「人材不足」17・5%。4位は「競争の激化」で6・9%だった。
今回は、ことしの賃上げ見通し、価格の転嫁状況、コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行することに伴う今後の事業運営についてのアンケート調査も実施した。
正規雇用者の賃上げ予定事業者は58・2%で、3%以上の増が16・4%。全国に比べると賃上げの動きは弱い。非正規雇用者の賃上げ予定事業者は48・2%となった。
価格転嫁は、希望の3割以上ができていると回答した事業者が45・6%。前期調査から7・8㌽増加したが、見通しを含めて十分に転嫁できていない事業者が多い。
5類移行については、「良い影響」を受けるとする事業者が28・0%、「悪い影響」と答えた事業者は5・1%だった。
県内企業の自社景況判断