日高川町でドローン物流サービスが進む 「関西初」の試みに山間部の大きな期待

全国的に物流業界の人手不足が深刻化しています。いわゆる2024年問題がすぐそこに迫っています。物流を支えてくださるドライバーの皆さんの時間外労働は「安全」と直結する問題だけに看過することはできません。一方で、労働環境を改善するとこれまでよりも人手を多く必要とし、結果として現場の人手不足が大きな課題となります。そして、その影響は山間部における物流網の維持を困難とさせる可能性があります。
また近年、人口減少の影響から山間地域を中心に小売店の廃業等が相次ぎ、そこに暮らす住民にとって日常の買い物が困難な地域が増えていています。
加えて、新聞配達が困難となり、郵送に変更されるため新聞が当日中に届かない地域も全国的に増加しています。
そのような中でいち早く課題解決に動き出した町があります。日高川町です。同町は2005年に日高郡の川辺町、中津村、美山村が合併し発足した町です。中央部に日高川が流れ、東西に約35㌔、県下で3番目に広い面積を有します。また、その約90%が森林面積で占められます。ある時、私は久留米啓史町長より、いずれ遠くない将来、日常におけるお年寄りの買い物が困難となり、自然災害発生時は集落が孤立し物資の支援ができなくなるとの危機感から、国の支援制度を活用しドローンによる物流体制の構築を急ぎたいとご要望いただきました。また、高齢者の交通事故を未然に防ぐためにも、運転免許を返納しても不便さを感じない街づくりを目指したいということも強調されました。
そこで、国の令和4年度2次補正予算を活用した「デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)」に応募いただき、見事採択され、約3000万円の予算が国から配分されることが決定しました。(事業費は約6000万円)この交付金の採択基準は、あくまで地域による自主的な取り組みを応援し、まさにデジタルを活用した課題解決に対する地方公共団体の取り組みを支援する制度です。従って、何より地元の意欲と行動がなければ前に進まない政策です。当初から日高川町では町長、副町長、担当職員が力を合わせ、非常に熱心に取り組まれてきました。
そして、先日、関西初となるドローンによる物流輸送サービスの拠点となる施設の開所式が執り行われました。これにより、まずは山間地域である旧中津村、旧美山村地域で物流専用のドローンによる配送サービスが可能となり、住民が電話で注文さえすればお弁当から日用品にいたるまで配達可能となります。当面はドローンで輸送可能な物品は重量が5㌔以内の梱包品に限られるため、それ以上の重量の宅配物はEV車で事業者が共同輸送する検討も進められていると聞きました。近い将来、日用品や新聞はドローンで、宅配物は事業者が共同委託するEV車で地球環境にも優しい物流網が実現する見通しとなりました。
日高川町の取り組みは、山間部を抱える日本全国の地域にとって希望の光と言えます。私は久留米町長の「最先端技術の活用により、どの地域に生まれ住んでいても同じようなサービスを受けられる均衡のとれた街づくりを目指したい」という言葉を全面的に支持し、地元とともに課題解決に取り組むことを誓いたいと思います。