「持ち直し」に上方修正 7月の県内経済情勢

和歌山財務事務所は、2023年7月判断の県内経済情勢報告を発表。総括判断は「持ち直している」とし、前回(4月)の「緩やかに持ち直している」から上方修正した。主要3項目の判断では、個人消費を上方修正し、生産活動、雇用情勢は据え置いた。

情勢報告は、個人消費や設備投資など9項目の基調判断を総合して総括判断を行っている。

個人消費の判断は「持ち直している」。百貨店・スーパーは、値上げの影響などによる飲食料品の他、外出機会の増加に伴う衣料品や身の回り品の売上が増加し、コンビニエンスストアは人流の増加に伴う売上増加がみられる。ドラッグストアの売上は化粧品や医薬品などが堅調に推移し、家電大型専門店は低価格帯の製品に需要が流れ、売上が減少している。

生産活動は「持ち直している」。機械工業は、海外需要の増加や部品不足の解消が進んでいることから生産は堅調。化学工業は衣料用洗剤などの家庭用製品を中心に生産は堅調で、鉄鋼業は建築関連製品の出荷が減少しているが、エネルギー関連製品の需要は堅調となっている。

雇用情勢は「持ち直しつつある」。5月の新規求人数(季節調整値)は前月比で減少しているものの、3カ月平均では前期比で増加し、有効求人倍率(同)も、3カ月平均で前期から横ばいとなった。

企業の声では、「物価高の影響から、冷蔵庫や洗濯機は展示品や型落ちなどで安くなっているものを求める客が多くなっている」(家電大型専門店)、「昨年は月々の生産量にムラがあったものの、今期は昨年よりも部品不足の緩和が進んでいることから、計画通りに生産できている」(業務用機械)、「生産量が増加していることもあり、製造ラインや研究職、検査部門などで人員が不足している」(化学)などがあった。

先行きについて和歌山財務事務所は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって持ち直していくことが期待される一方、世界的な金融引き締めが続く中、海外経済の下振れが景気の下押しリスクとなっていると指摘。「物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある」としている。