学校給食の無償化要請 市民団体が和歌山市に

市民団体「和歌山市の学校給食無償化を求める会」は1日、市内の子どもが費用の心配なく平等に給食を食べられ、保護者の負担を軽減できるよう、市内の学校給食無償化を実現するよう求める署名9268筆(うちオンライン139)を、尾花正啓市長と阿形博司教育長宛てに提出した。

現在の市の小中学校給食の現状は、市立中学校の無償化を尾花市長が公約とし、実施に向けた取り組みを進めている。市立小学校は、2022年度の1~3月と23年度の1年間について国の交付金を活用して無償化しているが、来年度以降の実施は未定。

同会によると、23年度に小中学校の給食を無償化しているのは県内14市町村(広川町は中学のみ)で、うち11市町村が自主財源での実施。無償化の動きは拡大している。

同会は、労働組合や教育関係のNPOなど21団体が参加して3月29日に発足。5カ月間にわたり署名活動を続け、今回が第1次の提出となった。

1日、同会の約20人が市役所を訪れ、共同代表の谷口知美和歌山大学教育学部准教授と満留澄子さんが、市教育委員会の前北博文学校教育部長に署名簿と要請書を提出した。

谷口共同代表は、憲法26条に「義務教育は、これを無償とする」と定められていながら、給食費、体操服や水着代、辞書や書道セット、彫刻刀などさまざまな出費があり、家庭が負担しないといけないという意識が強い「家族依存社会」になっていると指摘。「社会全体で子どもを育てる第一歩として、給食費の無償化を実現してほしい」と話した。

参加した同会メンバーからは、市立小学校に通う児童の給食費が無償でも、市内の県立特別支援学校に通う児童は対象外で、同じ家庭内で格差が出ているなどの訴えもあった。

前北部長は「子どもたちにおいしく安全な給食を届けたいと思っている。皆さんの思いを受け取って研究していく」と述べた。

同会は署名活動を継続し、12月市議会の前に第2次の提出を予定している。

署名簿と要請書を前北部長㊧に提出する谷口共同代表㊥ら

署名簿と要請書を前北部長㊧に提出する谷口共同代表㊥ら