紀の川市ふるさと納税の返礼品開発 和大生

大学生の目線から紀の川市の課題を考えてもらおうと、同市は和歌山大学経済学部の藤田和史准教授のゼミに所属する学生16人と9月から、「きのかわFUTUREDESIGNプロジェクト」に取り組んでいる。学生は3チームに分かれ、フィールドワークなどを通して課題を探り、解決に向けて活動。EICHANⅢ(えいちゃんスリー)の4人はフードロス対策をテーマに、ふるさと納税の返礼品として野菜の詰め合わせの開発を進めている。

各チームは観光客向けの市内周遊や、学生の農業バイトなどをテーマに活動。EICHANⅢでは、3回生の今井栄作さん(21)、柳瀬美咲さん(21)、丸尾明代さん(21)、川上孝太さん(21)が、JA紀の里と協力して取り組んでいる。

プロジェクトは9月28日に始動した。4人はJA紀の里農産物流通センター(同市井田)の見学などを通して、野菜は旬の時期に生産量が増えるとともにフードロスも増加することを学習。都市部の人にも食べてもらうことでロス削減につながると考え、ふるさと納税の返礼品に注目した。

4人はそれぞれの親や、親の職場の人ら130人以上に「返礼品に入っていればうれしい野菜」などのアンケートを実施。結果などから、カブ、シイタケ、シュンギク、ホウレンソウ、ブロッコリー、ハクサイの計6品を選んだ。

他自治体の返礼品と差別化を図るため、各野菜の特徴や食べ合わせ、豆知識、目利きや保存の方法を記したハンドブックを同梱することも決定。生産量が多いために見切り品となった野菜の中にも新鮮な物は多いことから、出荷当日に、めっけもん広場(同市豊田)で見切り品と判断された野菜2品程度も追加する。

メンバーは11月29日に同所で、食育ソムリエの資格を持つ井出口都さん(62)と、JA紀の里販売部直売課の井谷昂介さん(33)からハンドブックに記載するための情報を収集。

シュンギクは、すりゴマと食べ合わせることで独特の苦味を抑えられること、関東と関西で葉の形が違うこと、ホウレンソウなどの葉物野菜は乾燥に弱く、切り口を水に浸し、新聞紙などで包んで保存すると長持ちすること、カブはシチューなどの調理法もあることなどを聞いた。井出口さんは、「紀の川市の野菜や果物の良さを、学生が取り組んだふるさと納税の返礼品をきっかけに多くの人に知ってもらいたい」と話した。

メンバーは同所の売り場で、箱に入る量や原価、見栄えなどを考えて箱詰めも行った。「重さは大丈夫か」などと相談し合い、丸尾さんは「原価を考えるとハクサイを半分にする必要がある」などと意見を出した。

柳瀬さんは「大学生ならではの視点で課題を見つけて解決し、紀の川市に貢献できたらうれしい」と笑顔。川上さんは「取り組みを通して、多くの人に紀の川市の農産物を好きになってほしい」と話した。

同市地域創生課の西川昌克主査(34)は学生の取り組みに感謝し、「今後も継続して野菜の詰め合わせをしてくれる人が見つかればうれしい」と話している。

野菜の詰め合わせは「~想いを詰めて~大学生がお届けする紀の川お野菜まごころ便」として、納税額6000円に対する返礼品となる。納税の受け付けは、早ければ今月上旬に楽天ふるさと納税などで開始し、1月上旬までの受け付け、中旬ごろからの発送を予定している。

 

実際に野菜の箱詰めを行う和大生ら