被災建物の危険度判定 和市職員が帰還
石川県で能登半島地震の被災建築物応急危険度判定士として活動した和歌山市の派遣職員4人が22日、尾花正啓市長に帰庁報告を行った。
同市からの派遣は、第1次隊の2人が12~16日に能登町の山間部、柳田地区で建築物の被害状況を調査し、余震などによる二次被害発生の危険度などを判定、表示する業務に従事。第2次隊の2人は16~20日、穴水町、珠洲市の実施本部で判定業務の調整や判定結果の整理、相談などに当たった。
尾花市長は4人を市長室に迎え、余震も続く中、難しい業務に当たったことをねぎらった上で、和歌山市で災害が発生した場合に生かせること、課題になることなどを尋ねた。
能登町での危険度判定は112棟を行い、うち赤い張り紙をする「危険」が37棟、「要注意」(黄色)が36棟と、それぞれ約3分の1に上った。古い木造、瓦ぶきの建築物が多くみられ、耐震性の弱さや余震による落下物の危険の高さなどが、「危険」判定の多さにつながったのではないかとみられる。
降雪のため判定用紙がぬれ、記入に支障があったこと、積雪のため屋根の損傷などが確認しづらい場合もあったことなども報告された。
第2次隊の2人は、現場での判定業務ではなく、実施本部での資料作りや判定結果の集計などを担当。避難所も兼ねた役所での業務となり、各地から集まった判定士が活動するには手狭であったことなどから、和歌山市で各地から判定業務の応援が必要になった場合、実施本部の設置場所や駐車場の確保などを検討する必要があるとの報告もあった。
第1次隊の黒岩賢光教育施設課建設班長は「住宅の耐震化や水の確保など、できるだけの備えをしておかなければ、個人としては何もできない状態になってしまいかねないと感じた」と話し、各世帯での備え、市の補助制度を活用した耐震診断・改修などが大切と強調。第2次隊の那須宏之建築指導課副課長は「市内でも昔ながらの建物が多い中心部などでは同じような被害が起こるかもしれない。派遣の経験を庁内で共有していきたい」と話した。