パートナーシップ制度導入 県が2月から
和歌山県は23日、LGBTQ(性的少数者)のカップルに対し、パートナーの関係にあることを公的に認め、法律婚の夫婦と同等のサービスを受けられるようにする「パートナーシップ宣誓制度」を2月1日に導入すると発表した。全国の都道府県では21番目の実施となり、岸本周平知事は「市町村にも制度をぜひ実施していただきたい。(サービス実施に)参加する民間企業も増やしていきたい」と話している。
岸本知事は就任以来、障害者差別解消条例の制定、部落差別解消推進条例の強化改正(いずれもすでに実施)とパートナーシップ宣誓制度の導入の3点を、憲法13条に尊重を規定された基本的人権の中の「幸福追求権」を守るための施策として強い意欲を示し、今回で全て実現することになった。
パートナーシップ宣誓制度の対象要件は、成年で、一方または双方が性的少数者、どちらか一人は県内に住所があり、配偶者がおらず、宣誓者以外とパートナーシップ関係にないことなど。
県は岸本知事就任前の2021年9月から、県民への行政サービスや庁内の職員に対する事務などで事実婚や同性カップルなどを法律婚と同様に扱い、不利益が生じない運用を発表、実行してきたが、県内市町村での実施、県民に対する周知徹底や利用の推進を図るなどの観点から、宣誓制度導入に向け、昨年9月にパブリックコメントを行った。
制度開始により、宣誓したカップルには受領証が発行され、受領証の提示によって、よりスムーズに2人の関係性が説明でき、市町村や民間でも対象のサービスが受けられる。
現在、県内市町村でパートナーシップ宣誓制度を導入しているのは橋本市、新宮市、那智勝浦町にとどまるが、県の制度導入により、市町村への波及、民間の対象サービスの拡大が期待される。
導入に向けた県のパブリックコメントでは24人・団体から57件の意見があり、賛否は同程度。賛成意見では市町村や民間への働きかけ、学校教育での取り組みなどを求める内容、反対意見では、伝統的な家庭観や家族の在り方が壊れるとの懸念、少子化が加速するなどの声があったという。
宣誓を希望する人は、県の電子申請または電話(男女共同参画課、℡073・441・2510)で事前調整をした上で、書類の提出と内容確認、ウェブ会議システムによる本人確認を経て、受領証を交付する。事前調整の受け付けは2月1日午前9時開始。
宣誓制度を利用できる行政サービスや民間の機関などの一覧は県ホームページなどで公開する。
23日の定例記者会見で岸本知事は「多様な生き方があることを知り、受け入れ、一緒に歩んでいくために、パートナーシップ宣誓制度を最初の一歩としてやっていきたい」と述べた。