縄文・弥生時代の地域性 風土記の丘企画展
和歌山県立紀伊風土記の丘(和歌山市岩橋)の2023年度冬期企画展「紀伊半島の東と西―縄文・弥生時代の地域性―」が2月25日まで、同所で開かれている。紀伊半島の東西の沿岸部から出土した遺構を通して、人々の交流の様子を学ぶ。
紀伊半島沿岸部にある縄文・弥生時代の遺跡からは、日本列島各地の人々との海を介した交流を示すさまざまな遺物が出土している。特に縄文・弥生土器は紀伊半島の東岸と西岸で形や文様が異なっており、東岸は熊野灘・伊勢湾を介して東海地方と、西岸は紀伊水道を介して近畿・瀬戸内地方と盛んに交流が行われていたと考えられる。
その地域性は同時代の石器や漁労具の分布にも表れ、海を介した日常的な交流の範囲を知ることができる。狩猟や採集をなりわいとした縄文時代、本格的な米作りや金属器の使用、新しい祭祀が広まった弥生時代では、文化や社会が大きく異なるが、日常的な交流範囲は大きく変化しなかった。その背景には、当時の人々の生活と自然環境との深い関わりがあったとみられる。
今回の展示は、縄文時代から弥生時代にかけての長期間(約5500年前~1800年前)にわたって変わることのなかった紀伊半島の地域性を、考古資料を通じて紹介している。みなべ町徳蔵地区遺跡から出土の弥生土器・石器(農具・工具・狩猟具・祭祀具)、すさみ町立野遺跡から出土の弥生時代の弓(県指定文化財)、新宮市八反田遺跡から出土の弥生土器などが展示されている。
2月11日午後1時半~3時半には展示講座を開催。対象は小学生以上で、定員は先着30人。入館料の他、資料代100円が必要。電話または同所資料館受付で申し込む。
開館時間は午前9時~午後4時半(入館は4時まで)。月曜休館(2月12日は開館、翌日休館)。入館料は一般190円、大学生90円。高校生以下、65歳以上、障害者手帳を持つ人、県内在住の留学生は無料。
問い合わせは同所(℡073・471・6123)。