景況、持ち直し続く 社経研10~12月期調査

和歌山社会経済研究所の景気動向調査で、2023年10~12月期の県内企業の自社景況判断は、「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業の割合を引いたBSI値が2期ぶりに上昇し、マイナス7・2(前期比1・9㌽上昇)となった。同研究所は「持ち直しの動きが継続」と分析している。

調査は県内企業2000社(建設業200、製造業400、商業600、サービス業800)にアンケートで実施し、768社(38・4%)から回答を得た。

10~12月期の景況BSIを産業別にみると、建設業10・5(前期比10・5㌽上昇)、製造業マイナス12・4(同0・1㌽下降)、商業マイナス16・9(同3・2㌽下降)、サービス業マイナス3・6(同2・6㌽上昇)で、業種により景況判断が分かれた。

24年1~3月期の見通しは、全産業でマイナス7・6とほぼ横ばい。産業別では、建設業が9・5、サービス業がマイナス6・3に下降する一方、製造業はマイナス11・1、商業はマイナス15・7に上昇を見込む。

建設業のBSIは直近2年間で最も高い値。年度末に向けて公共工事を中心に発注額、出来高が増加している点、原材料価格の高騰による悪影響がやや緩和されている点などが業況改善につながったとみられる一方、人員不足は深刻化し、従業員4人以下の事業者ではBSIが悪化している。

製造業は、食料品、化学製品製造業で業況は底堅く、原材料価格の高騰による悪影響がやや緩和しているが、木材・木工製品、機械・機械部品、プラスチック製品製造業で、景況感、業績とも悪化している事業者が多い。

商業は、小売業でBSIが大幅に下降した。卸売業については、県内観光需要の持ち直しや建設業の業況改善を背景に、飲食料品、建築材料卸売業でBSIが上昇している。

サービス業は、旅館・ホテル業、飲食業のBSIは二桁のプラス水準で推移している。医療・福祉、運輸業も、見通しに弱さが見られるものの、BSIは上昇。一方、対事業者向けサービス業ではBSIが下降している。

地域別の景況BSIは、和歌山市マイナス1・5(前期比8・3㌽上昇)、紀北マイナス23・0(同9・4㌽下降)、紀中マイナス3・3(同2・1㌽上昇)、紀南マイナス5・8(同0・4㌽下降)。1~3月期の見通しは、和歌山市以外で上昇となっている。

経営上の問題点は、1位「売上不振」の30・0%、2位「人材不足・人員不足」の28・6%、3位「原材料価格の高騰」の20・1%。4位「競争の激化」の6・0%の順だった。

今回の特集アンケートでは、人手不足・人材確保について、40・6%が人手不足と回答し、そのうち40・3%の事業者が、人手不足により売上高が減少しているとした。

業務効率の向上については、41・9%が取り組みを実施したと回答。そのうち64・1%の事業者は業務効率が向上したと答えている。

IT活用によるデジタル化については、紙や口頭での業務が中心で、IT活用していないと答えた事業者が34・0%で、全国の15・2%に比べてデジタル化の遅れが浮き彫りとなっている。

 

県内企業の自社景況判断