17年の歩み一冊に 海南下津高校が閉校記念誌
3月1日の卒業式の日をもって閉校する和歌山県海南市下津町の同市立海南下津高校は、17年間の歴史が詰まった閉校記念誌を制作。同校で学んだ生徒たちへ、柳和希校長(64)は「利他の心を忘れず、ここで学んだことを誇りにもち、人生を切り開いてほしい」と思いを寄せる。
同校は、2007年に市立海南高校と下津女子高校が合併し開校。県内公立高校で唯一の女子校で、食物科と家政科の特色ある専門学科があり、卒業と同時に調理師免許が取得できる。開校以来、定員割れが続いており、閉校が決まった。
本年度卒業する15期生は、食物科15人と家政科2人の計17人。柳校長は2012年に校長に就任し、生徒を見守ってきた。「3年生は、閉校になるのを知りながら入学してきてくれた。少ない人数で工夫しながらさまざまなことを乗り越えてきた」と話す。
同校の一大イベントといえば、生徒がシェフとなりレストランを開く文化祭。地域の人にも好評で毎年多くの人でにぎわったという。
しかし、レストランはコロナ禍で3年間開催できず、15期生は経験したことがなかった。昨年4年ぶりに一般の来場者を迎えての文化祭が行われ、15期生は初めて対面で手作り弁当を販売した。
3年生の南葵さんは「高校最後の文化祭で地域の人にお弁当を提供することができた。おいしかったよと言われ、誰かの喜びが自分の喜びにつながることを実感できた」と振り返った。
閉校記念誌は、卒業生などに贈られるといい、文化祭や実習風景の様子、各種行事、実習作品、クラブ活動など、これまでの思い出がたくさんの写真で紹介されている。
閉校後、校舎は取り壊しとなることが決まっているといい、柳校長は「心の中にいつまでも母校を忘れないでほしい」と話した。