食・農の新ビジネスを 地域共創シンポジウム

新たな地域産業となる食・農の創出について多角から考えようと、「地域共創シンポジウム『地域で考える今後の食・農の新たなビジネスの創出へ』」が2月29日、和歌山県紀の川市粉河の粉河ふるさとセンターで開かれた。農家の支援に携わる団体の代表者らが、取り組みなどを紹介した。

農林水産省「知」の集積と活用の場プラットフォーム〝熱中症予防対策商品による地域産業創出〟が主催。同団体は「ハッサクプロジェクト」と銘打ち、ハッサクの皮に含まれるオーラプテンを用いた熱中症対策商品に関する有益な情報を勉強会などで発信している。シンポジウムには、市民を中心に県内外から約100人が出席した。

第1部の講演では、共同研究や技術指導、人材育成を通じた技術支援などに取り組む県工業技術センター食品開発部の中村允主任研究員が「技術支援機関からみた新ビジネス創出について」と題して取り組みを紹介。新たな産業をつくるための課題として、価値の創造をテーマに話した。

「消費者は何かの価値があるから(商品を)買い求める。価値をどのようにつくっていくかが重要」とし、変色させない無添加でのキウイのピューレ作りや、ウメの香りを残した製品開発の事例などを紹介。「いろんな人が手を取り合って新しい物づくりをやっていけたら」と話した。

また、公益財団法人わかやま産業振興財団総務部の山田貴文副主査は「支援機関からみた商品開発」、農家の移住支援や県外販路の拡大などに取り組む、㈱ロカリストの稲田貴一代表取締役は「和歌山の魅力発信に向けた取り組みについて」を演題に講演。

第2部では「ハッサクプロジェクト」の紹介があり、東洋大学健康スポーツ科学部栄養科学科の加藤和則教授が「オリンピックからハッサクプロジェクトへの展開」と題して事例を話した。その他、パネルディスカッションもあり、講師らが意見交換した。

 

価値の創造をテーマに話す中村主任研究員