観世流「天鼓」上演 8日、日前宮で薪能

第45回「日前宮薪能」が4月8日午後6時半から、和歌山市秋月の日前宮神楽殿で行われる。例年は夏に行ってきたが、コロナ禍で中止を余儀なくされ、開催を7月から4月に変え、2019年以来約5年ぶりに上演する。演目は、観世流能「天鼓(てんこ)」(シテ=分林道治)、大蔵流狂言「梟(ふくろう)」(シテ=茂山逸平)。

「天鼓」は古代中国の漢の時代を舞台とする物語。不思議な鼓を持つ天鼓という少年がおり、美しい音の鳴る鼓の話は皇帝の耳にも届き、皇帝は鼓を召し上げようとする。天鼓はこれを拒んだため殺され、川に沈められてしまった。皇帝は鼓を手にしたが、鼓は持ち主との別れを悲しみ、音が鳴らなくなる。皇帝は天鼓の老父を呼びつけ、鼓を打たせるよう命じる。鼓は見事な音を宮殿に響かせ、皇帝は心打たれて天鼓のため音楽供養の管弦講を行うと天鼓の霊が現れて…。晩年に将軍から冷遇され、愛児を失った世阿弥がその気持ちを込めて書いた曲ともいわれる。

入場は無料だが、整理券が必要(1人2枚まで、先着500人)。神社の社務所で受け取るか、84円切手添付の返信用封筒を同封し、申し込む。宛て先は日前宮(〒640―8322、和歌山市秋月365)。詳細は公式ホームページ。当日は駐車場がないため、公共交通機関での来場を呼びかけている。問い合わせは同神社(℡073・471・3730=午前9時~午後5時)。

古代中国を舞台にした「天鼓」を上演

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