脱炭素社会へ 和歌山市とパナソニックが協定

和歌山市とパナソニック㈱エレクトリックワークス社(本社=大阪府門真市)は27日、建物で使用するエネルギー消費量を実質ゼロにする「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」およびWell-Being(ウェルビーイング)の普及・導入促進に関する連携協定を結んだ。同社のノウハウを市内の施設の省エネ化に活用し、市が掲げる脱炭素社会の実現を目指す。

ZEBとは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費するエネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。同社は2019年からZEBに着手。22年に大阪府と連携協定を締結し、既存建築物のZEB化手法を確立した。23年には同社の京都ビルを大がかりな躯体工事を行わず、省エネ性能に優れた設備のリニューアルでエネルギー消費量を大きく減らし、通常改修と同等のコストでZEB化を達成。省エネ大賞(経済産業大臣賞)を受けている。

今回の連携は、これまでの暑さ、寒さ、暗さに耐える省エネではなく、光と空気に着目。過ごす人の健康と快適さを両立させた環境整備を行い、「住みたい」「働きたい」と選ばれる市になることと、脱炭素社会の実現を目指す。

市内の公共や民間の既存建築物でZEB化しやすい建物を選定し、改修の可能性を調査し手法を検討。また、認知度向上や環境創造型ウェルビーイングの普及促進を図っていく。

同市はことし3月、地球温暖化対策実行計画を改定。2030年度までに温室効果ガス50%削減を目指す他、50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目指す「ゼロカーボンシティ宣言」をしている。

特に市内で温室効果ガス排出量の8割を占める産業部門での脱炭素化は必須で、その目的達成に向け既存建築物の省エネ化・ZEB化は有効な手段とされている。

同日、市役所で行われた締結式で尾花正啓市長と同社和歌山電材営業所の伴野圭司所長が協定書を交わした。尾花市長は「省エネだけでは職場環境は成り立たない。働きやすい職場づくりも合わせた環境創造型のウェルビーイング推進は非常に大事。両者で積極的に推進していきたい」とあいさつ。伴野所長は「今まで数多くの経験で培った知見を生かし、光と空気、照明と空調の質にこだわったエコで快適で働きがいのある環境を提案し、和歌山市の脱炭素化と持続可能な発展に貢献していきたい」と話した。

協定書を手に尾花市長㊨と伴野所長

協定書を手に尾花市長㊨と伴野所長