災害時にも強い体づくり 寺田さんが体操考案
災害時に備え、強い体づくりに取り組んでもらおうと、和歌山市に住む健康運動指導士で「わかやま健康大使 わかきん先生」こと寺田尊紀さん(46)が、「わかきん体操・防災編」を考案した。災害時を想定した体操で、市内で営むフィットネスジムと、紀の川市の貴志川生涯学習センターで指導。楽しくコミュニケーションを取りながら、いざというときの防災意識も高まると好評を得ている。
寺田さんは21年間市消防局で勤務し、救急救命士の資格を持つ。これまで主に高齢者を対象に、健康寿命の延伸を目的とした筋力アップなどの指導を行ってきた。
南海トラフ地震に備え「物資の備えは一日で可能だが、避難行動に必要な足腰の強さは一日では得られない」という思いから、今回の体操を開発した。
ゴムチューブを両足首に巻いて負荷をかけ、片足ずつゆっくりと上げる体操は、避難時にがれきの上を歩くことを想定し、脚力を鍛えるためのもの。和式の仮設トイレに抵抗のない足腰の強さをつくるため、腰を落としたまま行う、スクワットと歩行を組み合わせた体操などがある。体に不具合があってもできるように、参加者に合わせ、動きを工夫している。
11日に同市の次郎丸のジムで開かれた講座には、40代から80代までの8人が参加。脚力トレーニングに加え、給水タンクを使ったタンクリレーと、障害物に片足で乗るゲームに挑戦した。
リレーでは「タンクをスムーズに渡すために、どんな体の動きが良いか」について意見を出し合ったり、椅子取りゲーム感覚でブロックに乗り、ふらつく様子に笑いが起こったり、参加者は一体となって取り組んでいた。
寺田さんは「災害で救援を待つ間、自助と共助で乗り越えなければならない。足腰を鍛えると同時にコミュニケーションも大切。楽しんで継続してもらい、地域を巻き込んでやっていきたい」と話した。
参加した同市西浜髙田忠子さんは「普段、やらない動きができた。タンクの渡し方をみんなで工夫できて良かった」と振り返った。
問い合わせは寺田さん(℡090・1073・1875)。