「ういてまて」 ため池で水難事故防止研修

ため池の重要性を伝えるとともに、水難事故防止を啓発しようと和歌山県は24日、紀美野町動木の樫河池(かしこいけ)で、同町立野上小学校4年生を対象に「ため池水難事故防止研修会」を開いた。

県が委託する県ため池サポートセンター(岡田和久センター長)が主催。県内では昨年に広川町で行われ、同町では初めて。

ため池は、県内に4723カ所、同町には202カ所ある。農業用水の供給や生物の生息、洪水調節など多面的な機能を持つ半面、全国で20件以上の水難事故が発生していることから、落ちた場合に取るべき行動を学んでもらおうと企画された。

全国で着衣泳指導や指導員養成などを行う一般社団法人水難学会(木村隆彦代表)指導のもと、児童ら30人は、ため池の役割りや落ちたときの行動など実践を交えて学んだ。

木村代表は、ため池は農業や災害防止に必要なものだが、危ないので遊んではいけないと言い「ため池には近づかない、フェンスは乗り越えない、遊んだり泳いではいけない。落ちたら浮いて待つ」と話した。

浅く見えるようで底は深いこと、斜面になったのり面はコケなどでぬるぬるしていて自力で上がってこられないなどと説明。

実際に児童が一人ずつ斜面を歩き、状況を体験。指導員がため池に入り、斜面を上れるのか、浮く方法などを実践し解説した。

大人の指導員でも自力では上がれず、木村代表は「助けにいくと自分も落ちて上がれない。すぐに119番に電話すること」と言い、浮き具としてペットボトルの投げ入れ方なども伝えた。

万が一落ちた場合は、上を向き大きく息を吸って止めるを繰り返す「ういてまて」をすることを呼びかけた。肺が風船の役割をすること、水に浮く材料が使われているサンダルや運動靴の浮力を利用することが大切だと説明した。

話を聞いた水本成美さん(10)は「実際に触って、ぬるぬるして滑りやすいと知った。落ちてしまったらきょうのことを思い出して浮いて待つ。その前に、ため池には近づかないようにする」と話した。

 

浮いている人にペットボトルを釣り竿で投げる児童

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