龍馬と陸奥の思い後世へ 全国大会県内初開催

活発な意見交換が行われたパネルディスカッション
活発な意見交換が行われたパネルディスカッション

坂本龍馬の精神を伝えようと、日本各地の龍馬ファンが年に1度集まる全国大会「龍馬World」が13日、和歌山市の和歌山城ホールで開かれた。ことしは紀州藩出身の外務大臣・陸奥宗光が主導し、龍馬らをはじめとする日本の悲願であった、不平等条約改正(日英通商航海条約締結)130周年と陸奥の生誕180周年を記念し、陸奥を輩出した和歌山で初開催。国内外から約500人が参加し、2人の志に敬意を表した。

和歌山市出身の陸奥は、龍馬が設立した海援隊などで龍馬と共に活躍し、多大な影響を受けたとされる。龍馬の死後、外務大臣として明治政府の最重要課題の一つ、不平等条約の改正に取り組み、1894年7月に日英通商航海条約の締結を成し遂げた。

大会を主催した龍馬World in和歌山実行委員会の臼井康浩委員長は「この条約改正があってこそ、75年を経てアジア・アフリカ各国が独立できた。わが和歌山でその条約改正130周年を祝う日を迎えることを誇りに思う」とあいさつ。

大会会長を務めた和歌山大学の本山貢学長は「未来を予測し時代を変えようと取り組んだ陸奥と龍馬の姿勢を後世に受け継いでいきたい。2人の理念や思想を継承していくことが和歌山の今後の発展につながれば良いと思う」と話した。

佐藤正久参議院議員による「不平等条約改正130年と現在の日本」、皇學館大学文学部国史学科の松浦光修教授・博士(神道学)の「龍馬の八策―神願の心―」と題した基調講演や、「龍馬と宗光未来への伝言」をテーマにしたパネルディスカッションで活発な意見交換が行われた。大会の最後には、臼井実行委員長が来年の開催地である高知県とタイの実行委員長大会旗を引き継いだ。

龍馬の兄の子孫で、坂本家10代当主である坂本匡弘さん(59、東京都)は「龍馬が一番かわいがっていた陸奥の故郷和歌山での熱い盛り上がりを感じた。龍馬の精神『自忘他利(じぼうたり)』、自分を忘れて、他人に利益をもたらすことを、今の世の中に発信していきたい」と話した。13~15日の3日間、熊野三山や高野山を巡るエクスカーションや交流会も行われた。