しらすを使った「ちりめん山椒」
前号では、山椒の味わいを長く楽しむための、実山椒の下処理の方法について取り上げた。今週は保存した実山椒を使った「ちりめん山椒」の作り方を紹介したい。
まずは、ちりめん山椒の歴史から。ちりめん山椒は、実山椒とちりめんじゃこ(しらす)を、しょうゆ、みりん、だし汁で甘辛く煮たもの。京都の代表的なおばんざいで、土産品としても人気が高い。店により味付けが異なるのも楽しみの一つ。
生まれたのは昭和の半ばごろで意外と歴史は浅い。京都の料理人が土産品やおすそ分けとして作り始めたのが始まり。1971年にこの料理人が病に倒れ、家族が販売を始めたところ人気となり、京都の名産品として知られるようになった。海から遠い土地柄から、新鮮な魚を食する機会が少なく、保存を目的に塩やしょうゆで魚を加工する習慣が、京都発祥の理由とされる。
作り方は簡単。今回は和歌山県産のしらすを使用した。しらすは水分が多いため、まず、フライパンにしらすを入れ弱火にかけ、乾煎りする。乾燥しサラサラとしてきたら酒を入れ、さらに乾煎りする。
ここで、山椒の出番。フライパンで山椒を乾煎りし香りが出てきたら、しょうゆ、みりん、酒、砂糖を適量加え、弱火で炒める。最後にしらすと混ぜ合わせながら煮詰めれば完成。山椒の風味と甘辛いしょうゆの味付けがよく合う逸品になる。
密閉容器に入れれば2週間程度の冷蔵保存が可能。冷凍しておいた実山椒を必要なときに必要な分だけ取り出して作ることもできる。他にも、鍋を使い、実山椒を酒とたまりじょうゆで煮詰めた佃煮も好まれ、こちらは冷蔵庫で1年程度保存が可能。
下処理さえしておけば、さまざまな料理にアレンジできる実山椒。ご飯のお供にぜひ。(次田尚弘/和歌山市)